[P27-6] Capnocytophaga canimorsus感染症により四肢コンパートメント症候群を発症し急速な転帰を辿った1症例
【背景】Capnocytophaga canimorsusはイヌ、ネコの口腔内常在菌であり咬傷・掻傷感染後敗血症の原因菌として世界で約200例の報告がある。本邦での報告は極めて稀であり、厚生労働省の報告では2002~2009年で重症化した患者は14例とされている。今回、我々は四肢コンパートメント症候群を伴ったC.canimorsus感染症を経験したので報告する。
【症例】38歳男性。大飲酒家。動物愛好家で野良犬・飼い犬問わず自ら好んで接触を繰り返していた。来院前日から40度台の発熱と下痢があり、近医でウイルス性胃腸炎と診断され、CDTR-PIを処方されていたが、症状改善せず心窩部痛も出現したため当院受診した。バイタルサインを含め、全身状態は良好で画像所見も明らかな感染源は特定できなかったが、炎症反応上昇、血小板低下、凝固異常、肝逸脱酵素の上昇、腎機能障害を認めた。病歴より志賀毒素産生性大腸菌による溶血性尿毒症症候群を疑い、抗生剤フリーでICU 入院となった。第2病日、朝方より呼吸苦出現、下肢血色不良、乳酸アシドーシスの進行を認め、末梢血液像でGNRが検出されたことから、敗血性ショックの可能性が高いとして挿管管理、CHDF導入、MEPM+VCM+MINO+TOB投与開始。骨髄検査で血球貪食症候群の所見が得られ、ステロイドパルス療法を追加し、同時に血小板輸血とFFPを投与した。夕方より輸液反応性が乏しい血圧低下を認めたため、ノルアドレナリン、ピトレシンを投与開始した。第3病日、全身に紫斑、両側上下肢に鉛管状の硬直が出現した。CK上昇、左下肢のコンパートメント内圧が40~60mmHgと上昇を認め、微小血栓による四肢コンパートメント症候群と診断された。試験切開で筋に明らかな色調不良は認めなかったが、切開部からの出血は認めず、臨床経過的には筋壊死の状態が疑われた。その後、乳酸アシドーシス、高K血症が増悪し、死亡した。
【結論】C.canimorsus感染症はときに重症敗血症及び電撃性紫斑病を引き起こす。2018年6月にウィスコンシン州の男性が同症例により敗血症性ショックとなり四肢切断の経過を辿ったことが知られている。今回は高容量のカテコラミンを要するような所謂ショックの経過をたどらずに、四肢コンパートメント症候群を併発したC.canimorsus感染症が発生した。C.canimorsus感染症は救命のために四肢切断が必要な症例があることを留意して診療に当たる必要がある。
【症例】38歳男性。大飲酒家。動物愛好家で野良犬・飼い犬問わず自ら好んで接触を繰り返していた。来院前日から40度台の発熱と下痢があり、近医でウイルス性胃腸炎と診断され、CDTR-PIを処方されていたが、症状改善せず心窩部痛も出現したため当院受診した。バイタルサインを含め、全身状態は良好で画像所見も明らかな感染源は特定できなかったが、炎症反応上昇、血小板低下、凝固異常、肝逸脱酵素の上昇、腎機能障害を認めた。病歴より志賀毒素産生性大腸菌による溶血性尿毒症症候群を疑い、抗生剤フリーでICU 入院となった。第2病日、朝方より呼吸苦出現、下肢血色不良、乳酸アシドーシスの進行を認め、末梢血液像でGNRが検出されたことから、敗血性ショックの可能性が高いとして挿管管理、CHDF導入、MEPM+VCM+MINO+TOB投与開始。骨髄検査で血球貪食症候群の所見が得られ、ステロイドパルス療法を追加し、同時に血小板輸血とFFPを投与した。夕方より輸液反応性が乏しい血圧低下を認めたため、ノルアドレナリン、ピトレシンを投与開始した。第3病日、全身に紫斑、両側上下肢に鉛管状の硬直が出現した。CK上昇、左下肢のコンパートメント内圧が40~60mmHgと上昇を認め、微小血栓による四肢コンパートメント症候群と診断された。試験切開で筋に明らかな色調不良は認めなかったが、切開部からの出血は認めず、臨床経過的には筋壊死の状態が疑われた。その後、乳酸アシドーシス、高K血症が増悪し、死亡した。
【結論】C.canimorsus感染症はときに重症敗血症及び電撃性紫斑病を引き起こす。2018年6月にウィスコンシン州の男性が同症例により敗血症性ショックとなり四肢切断の経過を辿ったことが知られている。今回は高容量のカテコラミンを要するような所謂ショックの経過をたどらずに、四肢コンパートメント症候群を併発したC.canimorsus感染症が発生した。C.canimorsus感染症は救命のために四肢切断が必要な症例があることを留意して診療に当たる必要がある。