第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

感染・敗血症 症例

[P27] 一般演題・ポスター27
感染・敗血症 症例06

Fri. Mar 1, 2019 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場7 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:小谷 祐樹(医療法人鉄蕉会 亀田総合病院 集中治療科)

[P27-7] 心臓血管外科周術期のSerratia marcescens菌血症に対してメロペネム持続投与が有効であった1症例

神納 幸治, 藤原 直樹, 加藤 匡人, 差波 新, 渕上 泰, 赤繁 徹, 西岡 雅彦, 成田 雅 (沖縄県立南部医療センター・こども医療センター)

【背景】βラクタム系抗菌薬は敗血症治療において重要な抗菌薬であるが、その殺菌作用と治療効果は、血中濃度が治療対象となる細菌の最小発育阻止濃度(MIC)を超えている時間に相関する。その特性を考慮すると持続投与は、Time above MICを延長し、より優れた臨床効果が期待される。重症敗血症においてβラクタム系抗菌薬の持続投与が臨床的治癒率を向上させるとのRCTも報告されているが、選択的にどのような症例に対して持続投与を行うべきかは未だ判然としていない。今回我々は外科的なsource controlやmeropenemを含む抗菌薬治療を14日間行うも菌血症が持続したseptic shockの症例に対してmeropenemを間欠投与から持続投与に変更したところ、救命に至った症例を経験したので報告する。【症例】1か月 男児。先天性心疾患(original Taussig-Bing奇形)に対するmodified Blalock-Taussig shuntを用いたNorwood型手術の術後症例。術後3日目よりseptic shock、Serratia marcescens菌血症となり14日間血液培養陽性が持続した。検出されたSerratia marcescensのmeropenemの薬剤感受性はMIC: ≦0.5mcg/mL、Susceptibleであった。感染翌日よりmeropenemを投与していたが菌血症が持続、septic shock、多臓器不全、DICに陥った。感染8日目にはlevofloxacinを追加したが治療効果は認めなかった。造影CTを含めた精査を行ったが感染巣は特定できず、感染9日目に感染巣として最も疑わしいと考えられた人工血管を交換する手術を行った。しかしその後も全身状態はさらに悪化し、感染13日目にLactate: 10.5 mmoL/Lまで上昇した。感染14日目にaztreonamを追加し、さらにmeropenemを持続投与に変更したところ好転し、感染15日目より血液培養陰性となった。その後、ショックを離脱し、感染22日目にカテコラミン投与を終了し、感染41日目に抜管した。感染巣は確定には至らなかったが心臓血管外科周術期における心血管系の感染症であったと考えている。【結論】meropenem間欠投与に不応のSerratia marcescens菌血症に対してmeropenem持続投与は考慮される。