第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

血液・凝固 症例

[P30] 一般演題・ポスター30
血液・凝固 症例03

Fri. Mar 1, 2019 2:00 PM - 2:40 PM ポスター会場10 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:佐々木 庸郎(公立昭和病院救命救急センター)

[P30-4] 重症肺炎を契機に発症した寒冷凝集素症に持続血漿濾過透析が奏功した1症例

森田 まゆみ1, 栗田 康寿1, 古賀 貴博1, 東 慶之介1, 油尾 亨1, 井上 勝1, 三輪 健二1, 杉盛 千春2, 安田 敏彦1, 松原 隆夫1 (1.石川県立中央病院 循環器内科, 2.石川県立中央病院 血液内科)

【背景】重症の寒冷凝集素症に対して血漿交換が有効であるとする報告があるが、本症例のように循環動態が不安定な症例に対しては持続血漿濾過透析を施行することにより通常の血漿交換に伴う副作用(血圧低下、アレルギー反応など)を抑え有効である可能性がある。
【臨床経過】症例は慢性腎不全(血液維持透析中)、無症候性心筋虚血(3枝病変)、両側下肢閉塞性動脈硬化症の既往を有する71歳男性。右重症下肢虚血に伴う足趾の壊疽増悪のため当科でCEZ(透析後1g投与)、TEIC(透析後200mg投与)による抗生剤治療を行っていた。第4病日より喀痰と咳嗽を認め、胸部Xpで右上葉に浸潤影を認め肺炎と診断した。第6病日に頻呼吸、SpO2低下(リザーバー付きマスク15L/minで90%前後)、意識障害を認め、胸部Xpで肺炎像の増悪を認めたため、人工呼吸器管理、持続的血液濾過透析、TAZ/PIPC(2.25g8時間毎)の投与を開始し、集中治療室管理とした。同日急激な貧血の進行を認め(Hb9.5g/dLから5.4g/dL)、赤血球製剤4単位を輸血した。バイタルは安定し、胃管からの血液排液は認めず、直腸診で黒色便は認めず、出血性の貧血は否定的で、第7病日の血液検査にて間接ビリルビン上昇、網状赤血球高値、ハプトグロビン低下、直接Coombs試験陽性、赤血球凝集が認められ、寒冷凝集素症が疑われた。寒冷凝集素症の原因としてマイコプラズマ肺炎も考えられたためAZM(0.5g24時間毎)の投与を追加した。肺炎は改善傾向であったが、貧血の改善は乏しく、連日の輸血が必要であったため、第11病日より持続血漿濾過透析を開始した。その後から赤血球製剤は連日投与から1日間隔での投与に減らすことができ、第13病日以降はHbの上昇と間接ビリルビンの減少傾向を認め、輸血は不要と判断した。その後も肺炎と寒冷凝集素症の再増悪兆候はなく第16病日に人工呼吸器、第18病日に持続血漿濾過透析を離脱し、第24病日に集中治療室を退室した。
【結論】重症肺炎を契機に発症したと考えられた寒冷凝集素症に対し持続血漿濾過透析が奏功した1症例を経験した。文献的考察を加えて報告する。