[P32-1] 急性妊娠脂肪肝のため緊急帝王切開にて分娩後、尿崩症をきたした1症例
【背景】急性妊娠脂肪肝(acute fatty liver of pregnancy: AFLP)は7,000-20,000例に1例の頻度で発症、速やかに児の娩出をおこなわなければ肝不全が進行し、母児共に予後不良となりうる疾患である。時にHELLP症候群(hemolysis, elevated liver enzyme, low platelet syndrome)、ウィルス性肝炎等との鑑別を要し、約50%に妊娠高血圧症を合併する。ICUでの集中治療が必要となることが多い。今回、緊急帝王切開後に尿崩症をきたしたAFLPの1例を経験したので報告する。
【症例】症例は30歳代の女性、既往に甲状腺機能低下症がある。妊娠34週4日、通院中の内科での採血で肝機能障害を認め当院へ紹介入院となった。当院での採血で腎機能障害も認め、AFLP疑いで緊急帝王切開を施行、術後は全身管理目的でICUに入室となった。術後も多尿を認め、尿崩症の診断でデスモプレシン点鼻を開始した。肝機能および腎機能障害、凝固障害は徐々に改善し、術後3日にICU退室となった。
【考察と結語】AFLPの確定診断には肝生検が必要であるが出血のリスクもあり、臨床症状、非侵襲的検査で診断されることが多い。AFLPの母体死亡率は早期発見・早期治療により10%前後になっているが、児の娩出と凝固障害に対する対症療法が治療の中心である。AFLPでは合併する腎障害で乏尿となることが多いが、本症例は経過中に多尿を認めた。その原因として、胎盤由来の抗利尿ホルモン分解酵素の代謝が肝障害のために阻害され多尿が持続したものと推測された。AFLPの臨床経過は症例により大きく異なりうることを再認識した。
【症例】症例は30歳代の女性、既往に甲状腺機能低下症がある。妊娠34週4日、通院中の内科での採血で肝機能障害を認め当院へ紹介入院となった。当院での採血で腎機能障害も認め、AFLP疑いで緊急帝王切開を施行、術後は全身管理目的でICUに入室となった。術後も多尿を認め、尿崩症の診断でデスモプレシン点鼻を開始した。肝機能および腎機能障害、凝固障害は徐々に改善し、術後3日にICU退室となった。
【考察と結語】AFLPの確定診断には肝生検が必要であるが出血のリスクもあり、臨床症状、非侵襲的検査で診断されることが多い。AFLPの母体死亡率は早期発見・早期治療により10%前後になっているが、児の娩出と凝固障害に対する対症療法が治療の中心である。AFLPでは合併する腎障害で乏尿となることが多いが、本症例は経過中に多尿を認めた。その原因として、胎盤由来の抗利尿ホルモン分解酵素の代謝が肝障害のために阻害され多尿が持続したものと推測された。AFLPの臨床経過は症例により大きく異なりうることを再認識した。