第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

産科・婦人科

[P32] 一般演題・ポスター32
産科・婦人科01

Fri. Mar 1, 2019 2:00 PM - 2:50 PM ポスター会場12 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:中村 教人(さいたま市立病院 集中治療科)

[P32-3] HELLP症候群に伴う肝被膜下出血を発症した1例

坂本 尚子1, 加藤 崇央1, 伊野田 絢子1, 大久保 訓秀1, 小島 啓1, 黒木 将貴1, 野口 翔平2, 照井 克生2, 小山 薫1 (1.埼玉医科大学 総合医療センター 麻酔科, 2.埼玉医科大学 総合医療センター 産科麻酔科)

HELLP症候群に伴う肝被膜下出血の発症率は0.58%程度と非常に稀であるが、致死率は35-75%に及ぶと報告されている。今回、帝王切開術後に肝被膜下出血を発症し集中治療を要したHELLP症候群の症例を経験した。<症例>症例は30歳代、女性。妊娠前より高血圧を指摘されていた。双胎妊娠、妊娠23週の検診時に血圧190/110 mmHg、蛋白尿を認め、血圧管理目的で入院となった。入院時に肝機能異常等は認めなかった。カルシウム拮抗薬、硫酸マグネシウムで加療するが胸腹水の貯留も認めたため、妊娠24週0日に緊急帝王切開を施行した。術後1日目にドレーンからの出血とヘモグロビン低下があり、CTで肝被膜下出血を認めた。血液検査で肝胆道系酵素の上昇と血小板減少があり、産褥期に発症したHELLP症候群と診断された。腹部超音波検査で血腫による右門脈閉塞も認めたため、肝動脈塞栓術で被膜下出血の止血を行った。塞栓術で肝機能のさらなる悪化が危惧されたが、ICUでの集中治療により全身状態は改善した。帝王切開術後12日目に右肝切除術を施行、14日目にICU退室、19日目に経過良好で退院となった。<考察および結語>HELLP症候群は全妊娠の0.2-0.6%,妊娠高血圧症候群の4-12%,重症妊娠高血圧症候群の10-20%、子癇の50%に発症し、DIC、腎不全、ARDS等を合併し重症化しうる。本症例のように産褥期に発症するのは約3分の1とされている。今回、HELLP症候群の非常に稀な合併症である肝被膜下出血を発症した症例を経験した。ICUで集中治療を行い、血管内治療から待機的肝切除の手順を踏み救命することが可能であった。