第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

産科・婦人科

[P32] 一般演題・ポスター32
産科・婦人科01

2019年3月1日(金) 14:00 〜 14:50 ポスター会場12 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:中村 教人(さいたま市立病院 集中治療科)

[P32-4] 高年齢妊婦の帝王切開では昇圧剤とオキシトシンの使用量が増加する

大角 香穂1, 細川 麻衣子2 (1.日本赤十字社医療センター 麻酔科, 2.昭和大学病院 麻酔科)

目的:産科領域では高年齢妊娠がリスクとなる報告がされているが, 麻酔科医の介入が高年齢妊娠にどう寄与するか明確にされていない. 当院で麻酔科が介入する帝王切開は, 手術既往や胎盤位置異常など合併症のある症例が多い. 通常35歳以上を高年齢群と分類するが, 40歳以上の分娩が全国統計の5.9%と比べて15.3%と多い当院において, 麻酔科介入が高年齢妊婦の帝王切開に及ぼす影響を調査する.方法:2013年5月から2017年9月まで当院で麻酔科管理下に帝王切開術を受けた598名のうち, 予定手術で脊髄くも膜下麻酔をされた35歳以上の妊婦305名を対象とした. 35歳から39歳の184名と40歳以上の121名の二群に分け, 後方視的に検討した. 患者背景として身長・体重・BMI・ASA-PS・術前ヘモグロビン値・過去の妊娠回数・既往帝切の回数・妊娠高血圧症候群の有無を, アウトカムとして手術時間・出血量・術後ヘモグロビン値・エフェドリン/フェニレフリン使用量・オキシトシン使用量・輸液量/輸血量・術後ICU管理の有無を調査した. それぞれの平均値を数値はt検定, 割合はχ二乗検定を用いて統計学的有意差が生じるか検証した.結果:両群で患者背景には有意差はみられなかった. 昇圧剤の使用が40歳以上群で有意に多く(p<0.05), なかでもエフェドリンの使用量が40歳以上群(6.46±0.56mg)の方が35-39歳群(4.56±0.40mg)より有意に多かった(p=0.005). また, オキシトシンの使用単位数が40歳以上群(11.06±0.45単位)の方が35-39歳群(9.68±0.30単位)より有意に多かった(p=0.013). 両群で出血量, 輸液・輸血量は統計学的に有意差がみられなかったが, 出血量、輸血量ともに40歳以上群で多い傾向にあった.考察:麻酔科による継続的な監視下で適切に昇圧剤や子宮収縮薬を使用することで, 40歳以上の妊婦でも安全に帝王切開を行う事ができる.