第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

鎮痛・鎮静・せん妄 症例

[P34] 一般演題・ポスター34
鎮痛・鎮静・せん妄 症例01

Fri. Mar 1, 2019 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場14 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:山﨑 正記(京都府立医科大学附属病院集中治療部)

[P34-6] 小児の胸壁腫瘍手術に対し、肋間神経ブロックが有用であった1例

亀山 良亘1, 齋藤 浩二1, 志賀 卓弥1, 井汲 沙織1, 佐藤 友菜1, 齋藤 悠2, 山内 正憲2 (1.東北大学病院 集中治療部, 2.東北大学病院 麻酔科)

 【背景】成人において末梢神経ブロックは超音波装置の発達に伴い安全な施行が可能となり、術中及び術後の鎮痛として用いられている。しかし、小児においては技術不足などから成人ほど広く施行されているとは言いがたい。今回、我々は巨大胸壁腫瘍切除術を行う小児症例に対し、超音波下に肋間神経ブロックを行い良好な術後管理を施行することができたので報告する。【臨床経過】症例は1歳7ヶ月男児 身長80cm 体重11.1kg 母親が患児の左腋下部の腫瘤に気づき近医を受診したところ左腋下から側胸部にかけて6cm大の腫瘍を指摘された。MRIを施行し脂肪芽腫疑われ当院紹介受診となった。CT上では腫瘍は、10cm大で胸腔内から胸腔外へダンベル状に進展しており第2肋間は拡大していた。麻酔はTIVAで行ない、内径4mmの気管チューブを挿管した上で5Frの気管支ブロッカーを用い右分離肺換気を行った。麻酔時間378分、手術時間188分、フェンタニル投与量100μg、0.375%アナペインを使用し肋間神経ブロック第2、3、4肋間各肋間1mL使用し行った。手術は切開部約10cmにおよび、第3肋骨は腫瘍に埋もれており剥離困難とのことで、腫瘍前後の部分で合併切除となった。術後は再膨張生肺水腫の可能性を考慮し、挿管のままICUへ帰室となった。鎮静のためデクスメデトミジン1.6μg/kg/hを投与し、鎮痛にはフェンタニル0.1μg/kg/hとアセリオ80mg 4回/日を併用した。術後経過は安定しており、酸素化も良好であったため術後2日目に抜管となった。抜管前に再度鎮痛目的に同様の肋間神経ブロックを行った。母児分離による啼泣はあったものの、母親が同室することにより消失し、創部を痛がる様子は見られなかった。肋骨切除による呼吸への影響も懸念されたが理学所見、血液ガス等に問題は無かった。夜間はデクスメデトミジンを使用し就眠が得られ、術後3日目にICUを退室した。ICU退室後もアセトアミノフェンを定時投与していたが、機嫌は良く疼痛コントロールは良好であり、術後9日目に退院となった。<結論>小児の胸部手術で肋骨合併切除を伴う大きな術後創が残る症例であったが、マルチモーダルな鎮痛を行うことで良好な術後管理を行うことができた。