第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

循環 症例

[P38] 一般演題・ポスター38
循環 症例06

Fri. Mar 1, 2019 2:00 PM - 2:50 PM ポスター会場18 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:山口 和将(公立昭和病院 救急科)

[P38-2] 当院で経験した気管支鏡検査中に心電図モニター上ST上昇を認めた症例の検討

鈴木 学, 橋本 理生, 石井 聡, 仲 剛, 飯倉 元保, 泉 信有, 竹田 雄一郎, 杉山 温人 (国立国際医療研究センター)

【背景】気管支鏡検査は呼吸器疾患の病因・病態の評価と治療方針決定のためには必須の検査であるが、あくまでも診断を目的としたものであり,本検査に伴う合併症は極力避けなくてはならない。一般的には肺・気管支からの出血(合併症発生率0.66%)、気胸(合併症発生率0.4%)がよくある合併症であるが、心筋梗塞、不整脈などの心血管系の障害(合併症発生率0.07%)も頻度は少ないが時に認める。【目的】今回当院で経験した気管支鏡検査中に心電図モニター上ST上昇を認めた症例に対して、その臨床的特徴をあきらかにするため、後ろ向きに検討を行った。【方法】2010/1/1から2018/8/31の間 に当院で気管支鏡を行った症例のうち心電図変化を認めた症例。【結果】検討期間中の全気管支鏡検査はTotal:3763例で、そのうち、検査施行中に心電図モニター上ST上昇を認めた症例は10例であった。内訳は男性3例/女性7例で、年齢は平均69.5歳(47-85歳)であった。悪性疑いが8例、炎症性疾患疑いが2例で、全例TBLBが施行され、気管支鏡にて診断に至った。検査時間は中央値が47.5分、鎮静剤使用の中央値が2.6mg、酸素投与量の中央値が5Lであった。 全例、ST変化後にACSを疑い緊急CAGが施行され、有意な血管狭窄を認めなかった。10例中6例が冠攣縮性狭心症の診断、4例がたこつぼ心筋症の診断となった。合併症管理のため半数の5例がICU管理となり、そのうち1例は重篤な脳血流障害を来し、長期ICU管理が必要となった。合併症による死亡例は認めなかったが、その後現病の進行(肺癌の進行)やその他の合併症による死亡例を認めた。【考察】冠攣縮発作は冠動脈平滑筋受容体に作動するさまざまな刺激によって誘発されるとされ、ノルアドレナリンなどの血管収縮性神経伝達物質の遊離などが知られている。またたこつぼ心筋症の発症メカニズムは明確に解明されてはいないが,カテコラミンによる心筋障害や神経原性気絶心筋などによると考えられている.これらに共通することとしては、検査に対する精神的・肉体的ストレスや止血目的で使用したボスミンにより心負荷が増大,その後2次性に心電図変化を来したと考えられた。【結語】頻度は非常に少ないが、今後高齢化社会に伴い高齢者や心疾患合併症例の気管支鏡検査が増加することが予想されるため、このような重篤な合併症の存在を常に意識して術前検査をしっかり行いつつ術中・術後の管理に努めることが重要と考える。