第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

チーム医療

[P43] 一般演題・ポスター43
チーム医療02

2019年3月2日(土) 11:00 〜 11:40 ポスター会場2 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:神谷 健司(近畿大学医学部附属病院集中治療部)

[P43-1] クリティカルケア領域で働く診療看護師(NP)の看護師特定行為の実施状況

小波本 直也1, 藤谷 茂樹2 (1.聖マリアンナ医科大学病院 看護部, 2.聖マリアンナ医科大学 救急医学集中治療部)

【背景】看護師特定行為21区分38行為は,2025年に向けて,さらなる在宅医療等の推進を図っていくため看護師の特定行為研修制度が2015年10月から開始された.しかし特定行為の多くは急性期領域に偏っていると指摘されているが,急性期領域においての特定行為の実施状況の研究は皆無でその実態は明らかとなっていない.【目的】クリティカルケア領域を含む急性期領域における特定行為実施状況とその特徴を明らかにし,病院管理者や研修教育機関にとっての特定行為研修修了者の活用,キャリア支援等の基礎資料とする.【方法】当院に勤務する大学院修士過程を修了し看護師特定行為21区分38行為の研修を修了した卒後1年目のNP1名を対象.調査期間は,2017年6月1日から2018年8月31日の15か月間(救命センター6か月,循環器内科4か月,心臓血管外科3か月,脳神経外科2か月間)各診療科のチームに所属し実施された看護師特定行為を単純集計.特定行為に関わるインシデントやアクシデント発生件数.【結果】研究対象期間で看護師特定行為21区分38行為中35行為が実施され特定行為の回数は2050回.実施した特定行為35行為全てにおいて,医師監督下で最低5回実施し,手技等が安全に行われていることが証明されている.実施回数の多い上位5つの特定行為は,持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整179回(8.7%),侵襲的陽圧換気の設定変更165回(8.0%),直接動脈穿刺法による採血130回(6.3%),持続点滴中の降圧薬の投与量の調整119回(5.8%),持続点滴中のNa,K又はClの投与量の調整116回(5.7%)の順で全体の35.6%を占めていた.実施機会のなかった特定行為3行為は,1.胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換,2.膀胱ろうカテーテルの交換,3.褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去であった.特定行為に関わるインシデントやアクシデントの有害事象は認めなかった.【結論】クリティカルケア領域でNPが実践している特定行為の範囲は38行為中35行為と幅広く15か月間で2050回実施されていることが明らかとなった.クリティカルケア領域で頻度の高い特定行為区分は,循環動態に係る薬剤投与関連,呼吸器(人工呼吸器療法に関わるもの)関連,動脈血ガス分析関連であった.特定行為に関わる有害事象の発生は無く安全に実施されていた.横断的に働くことにより,より幅広い特定行為に携わることができ,クリティカルケア領域でその力が発揮できることが示せた.