[P44-5] 当院におけるCARTスコアを用いた院内心停止症例の評価
【背景】入院患者は,急変をする数時間前から何らかの悪化兆候を示す.Rapid Response Team(RRT)は院内急変に対応するチームであり,悪化兆候を早期に捉えるための起動基準に関して議論されている.今回,院内心停止のリスクを年齢,呼吸回数,拡張期血圧,心拍数の複数のパラメーターとして評価するCART(Cardiac Arrest Risk Triage)スコアを用いて,当院における心肺停止の症例において評価した.【方法】2012年4月から2018年9月までの間で発生した院内心肺停止のためにスタットコールされた事例を対象とし,後ろ向きに検討した.心肺停止後に蘇生されずそのまま死亡した群(N群)と蘇生され生存退院した群(R群)それぞれの症例に関して,年齢,スタットコールされた時刻から6~8時間前の呼吸回数,拡張期血圧,心拍数の記録を電子カルテから抽出し,CARTスコアを算出した.また,CARTスコアの各パラメーターにおいても両群で検討した.データは中央値で表し,統計はMann-Whitney U検定を用いて,有意水準をp < 0.05とした.【結果】心肺停止の症例は31例であり,N群で19例,R群で12例であった.年齢はそれぞれ68(62-77)歳,70(50-76)歳であった.CART scoreはそれぞれ22(9-28),9(6-14)であり,N群で有意にスコアが高かった(p = 0.025).また,CARTスコアのパラメーターのうち,呼吸回数と心拍数の項目においてもN群で有意にスコアが高かった(p = 0.047, 0.037).【結語】CARTスコアは院内心停止を予測するスコアとして有用である可能性が示唆され,今後症例数を増やした検討を行う必要がある.