[P45-1] アンギオテンシン変換酵素阻害薬内服歴のある、喉頭血管性浮腫の2例
・背景 アンギオテンシン変換酵素阻害薬は、高血圧や心不全治療に広く使用されている。同薬剤の副作用の一つに血管性浮腫があり、喉頭浮腫をきたすと致死的な経過をたどることがある。今回我々はアンギオテンシン変換酵素内服歴があり、喉頭血管性浮腫を起こした2例を経験したので報告する。・症例症例1:82歳男性。夕食後より突然の呼吸困難を自覚し、当院へ救急搬送となった。病着時、全身チアノーゼ、多量の流延を認め、喉頭内視鏡検査にて著明な舌浮腫を認めた。窒息の危険性があり、救急外来にて緊急気管挿管を施行した。採血にて補体の低下は認めず、C1インヒビターがわずかに低下しているのみで、遺伝性血管浮腫は否定的であった。6年前からアンギオテンシン変換酵素阻害薬の内服歴があり、同薬による血管浮腫が最も疑われた。数日のステロイド投与で浮腫は軽快した。症例2:74歳女性。大動脈解離に対して緊急手術を施行された。血圧コントロールのため、アンギオテンシン変換酵素阻害薬の内服を開始した。内服開始から1ヶ月後、舌、顎周囲の腫脹が出現し、当院耳鼻科外来を受診。顔色不良、多量の流延を認め、喉頭内視鏡検査を施行したところ、著明な舌・喉頭浮腫を認めた。徐々にチアノーゼ増悪し、意識を消失。アドレナリン投与、緊急気管挿管を施行し、ICU入室となった。ICU入室後徐々に意識は改善し、数日間ステロイド投与を継続したところ浮腫は改善した。採血にてC1インヒビター、補体の低下は認めず、今回もアンギオテンシン酵素阻害薬による血管性浮腫の可能性が最も疑われた。・結語アンギオテンシン変換酵素阻害薬による血管性浮腫は、内服開始から発症までの期間が多様であり、数年の内服期間を経て血管性浮腫を発症する症例もある。アンギオテンシン変換酵素阻害薬を内服している患者で喉頭浮腫を認めた場合、内服期間にかかわらず、血管性浮腫を念頭において診療にあたるべきである。