[P46-1] ICUにおけるEnd of Life Careの診療録による実態調査
背景:2014年に発表された救急・集中治療における終末期医療に関するガイドラインにおいて、患者の意思を尊重しチームで適切な対応を判断する必要性が提言されたため、医療現場の対応が変化してきていることが予想される。目的:ICUにおけるEnd of Life Careに関する現状を明らかにする。方法:対象は、2014年4月~2016年12月にICUに入室し死亡転帰をとった患者。調査内容は、年齢・性別・臨床診断名・APACHE2score・入室期間・治療状況(人工呼吸器使用、昇圧剤使用、栄養管理、透析、鎮痛鎮静剤使用)・事前指示の有無・DNARの有無・withhold(draw)の有無と内容・ケア内容(患者と家族の意思決定プロセス、家族ケア、緩和ケア等)。結果:ICUで死亡転帰をたどった125例の平均年齢±SDは67.0±15.0歳(27~91歳)で、性別は男性64.3%、診療科は腫瘍内科16.5%、血管外科14.2%、心外12.6%、消内9.4%等であった。入室経路は病棟からが52.8%、手術室22.0%、救急外来20.5%などで13.6%は心停止蘇生後で、APACHE2スコア平均値は32.8±10.9、在室日数中央値は1.77(0.019-178.4)日だった。医療状況は、気管挿管56.7%、昇圧剤使用81.9%、輸血使用45.7%、持続栄養投与20.5%だった。DNARは44.9%、withholdは39.4%で、両方とも経年的に増加し、年齢や疾患群、入室経路による有意差はなかった。治療制限内容は、昇圧剤制限、透析なし、回路更新(PCPS,CHD)なし、新たな治療なし等であった。withdrawは3名で、挿管のままの人工呼吸器停止、手術や昇圧剤投与中止であり、患者自身の意思記載は3名、家族による推定意思は8名だった。治療に関する意思決定プロセスの看護記録は62.4%で、緩和ケア的な患者への痛みや口渇への対応および鎮痛鎮静薬調整等の記載は58.4%あった。家族介入に関する記載は90.0%あり、その内容は傾聴や休息への配慮、ICや看取りのための細やかな連絡調整および清潔ケアやエンゼルケアへの家族参加に関することだった。結論:2014年から2016年にかけて患者の治療に関する意思決定プロセスにおいて、家族によって患者の推定意思を尊重した治療選択や家族介入が記載されていることは、End of Life Care実施の証拠となり得ると考える。しかし、患者本人の事前意思表示は皆無で、治療に関する意思確認は困難な状況も明らかとなり、その意思決定プロセスにどのように看護師が関わるかはEnd of Life Careの今後の重要な課題である。