第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

安全・安楽

[P47] 一般演題・ポスター47
安全・安楽

2019年3月2日(土) 11:00 〜 11:50 ポスター会場6 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:宮原 聡子(大阪市立総合医療センター ICU1)

[P47-1] 気管切開関連インシデントの要因検証と患者ラウンドにおける現状と課題

鈴木 美香, 金子 恵 (地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立安佐市民病院)

【背景】気管切開関連のインシデント・アクシデント(以下IAと記す)は緊急度が高く生命に危険を及ぼす可能性がある。A病院においても短期間で気管切開関連のIAが複数報告された。そこで安全に気管切開患者の管理が行えることを目的とし呼吸ケアチームでラウンドを開始した。これまでの気管切開関連IAの発生要因の検証により、リスク回避やIAの低減に繋げることが出来ると考えた。またラウンド時の提言内容から気管切開患者の管理・看護の改善に役だて、今後のラウンドにおける課題が得られると考えた。【目的】気管切開関連IA報告からIAが発生しやすい要因を検証する。またラウンド時の提言内容を調査し、気管切開患者の看護における課題を見出す。【方法】後方視的調査研究1.2015年4月から2017年10月までの気管切開関連IAの発生要因を検証する。2.2017年11月から2018年5月までのラウンド時の提言内容を調査する。【結果】上記1の期間のIA、チューブの逸脱26件(自己抜去8件、事故抜去18件)チューブ閉塞1件、コネクター破損1件。自己抜去の4件にせん妄あり。チューブ逸脱の16件に呼吸器装着や酸素投与あり、7件が体位調整後、5件にステロイド投与あり、平均アルブミン値2.72(±0.69)。気管切開後2週間以内のチューブ逸脱12件。発生要因は観察・確認不足、チューブ類の知識不足が多かった。上記2の期間のラウンド件数58件、IA件数2件。ラウンド時の提言では皮膚ケア、カフ上部吸引の方法、準備物品の充足、予測されるリスクへの対応、適切な固定方法、チューブ特性の情報提供などが多かった。【結論】チューブ逸脱の要因としてせん妄、デバイスによる張力がかかりやすい状態、不適切な体位管理が考えられた。気管切開早期のチューブ逸脱は再挿入が困難で迷入しやすい。チューブ逸脱症例でステロイド使用や、低アルブミン等の創傷治癒遅延要因があり、チューブ迷入のリスクが高い状態であった。安全なケアを提供する為にはリスクを予測する観察や確認、チューブ特性に関する知識の習得が必要である。ラウンド時には発生している事象を担当看護師と共に確認し、必要なケアを具体的に提示した。臨床実践を通して課題を明確にすることは安全なケアの提供に繋がると考える。気管切開周囲の皮膚ケア、気道ケア、チューブ逸脱予防としての適切な固定方法などの遵守が今後の課題である。