第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

家族支援

[P49] 一般演題・ポスター49
家族支援

Sat. Mar 2, 2019 11:00 AM - 11:50 AM ポスター会場8 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:川上 悦子(長崎大学病院看護部)

[P49-2] 集中治療室でのタブレット端末を用いた面会者への情報提供方法の検討

加藤 建吾1, 畑 貴美子1, 藤本 佳久2, 牧野 淳1 (1.横須賀市立うわまち病院 特定集中治療室, 2.東京ベイ・浦安市川医療センター 集中治療科)


【背景】
近年、集中治療領域では、PADISガイドラインやABCDEFバンドルなど患者の回復に向けた早期離床の重要性が説かれている。早期離床への家族の精神的サポートは、患者の回復意欲を高めるためにも重要である。また、家族看護の視点からも、家族が患者の回復過程を見守れる環境整備は必要である。しかし、仕事の都合や住居が遠方などの理由のため家族がリハビリテーションを見学できず、治療への参画が進まない場面が散見される。そこで、家族の治療への参画促進や満足度改善を期待し、当院集中治療室では希望する患者や面会者にタブレット端末を用いてリハビリテーション時の動画を撮影し拝観してもらう取り組みを始めた。
【目的】
動画情報を活用した情報提供の効果の解明に向けた初期的段階に位置する報告として現在の取り組みを明文化し、取り組みの課題を検討する。
【方法】
当院の集中治療室には日常診療業務での活用可能な資源の一つとしてタブレット端末が配置されている。動画の撮影を希望する意思疎通が可能な患者本人に了承を得て、プライバシーに配慮しつつ面会者不在時のリハビリテーションに取り組む様子を撮影し、拝観してもらう取り組みを試験的に行った。動画データは、拝観後や患者がICU退室時に受け持ちスタッフにて削除された。
【結果】
リハビリテーションの動画を拝観した面会者は笑顔であり、前向きな意見が聞かれた。試験的な取り組みでは、否定的な意見は聞かれなかった。
【結論】
面会者にタブレット端末を用いて面会時間外の患者の様子を拝観してもらう取り組みは、肯定的な評価が得られた。このことは、家族の満足度改善と医療者との信頼関係の構築が図れたためと考えられる。また、言葉では伝えづらい患者のリハビリテーションの状況を、動画情報を用いて伝えることは、家族の患者状態把握に寄与し治療への参画を促進する可能性を示す。今後、タブレット端末を用いた情報提供の有用性を評価できるようにデータを蓄積していくことを検討する。また、撮影は方法を検討すればリハビリテーション以外も可能であり、ニードに合わせて提供する動画情報の種類を検討していく。