[P50-3] プレセプシンを指標にした敗血症治療の可能性の検討
【目的】敗血症は死亡率が高く早期診断・治療が重要だが、その診断マーカーとして使用されているCRPやIL-6、プロカルシトニン等は感染症特異性が低いことが問題である。プレセプシン(以下、P-SEP)は感染を合併しないSIRS患者では上昇せず、感染症特異性が高い敗血症診断マーカーである。重症度スコアとも有意な相関関係があり、重症度判定にも有用とされる。治療経過においても、P-SEPは経過良好例でのみ値が低下し、経過不良例では低下を認めないとの報告がある。また、敗血症性ショック前には先行して値が上昇し、既存マーカーよりも臨床症状を反映すると考えられている。そこで、実臨床における敗血症の診断・治療におけるP-SEPの有用性について検討した。【方法】対象は、2015年11月~2018年8月の間に当院ICUに入院し、P-SEPを測定された敗血症患者もしくは敗血症疑いの患者とした。研究デザインは診療録等の診療情報を用いた後ろ向き研究とし、除外基準は、18歳以下の症例、SOFAスコアが未評価の症例とした。P-SEP最大値をもとに患者を振り分け、SOFAスコア最大値を主要アウトカムとして検討する。【結果】約300症例が研究対象として該当した。そのうち40症例のデータを中間報告として統計処理をし、以下の傾向が見られた。(1)P-SEP最大値とSOFAスコア最大値に有意な相関関係を認めた(r=0.6, r2=0.37,p<0.001)。(2)患者を3群(P-SEP <500pg/ml, 500~2000pg/ml, >2000pg/ml)に分け検討したKaplan-Meier法による生存曲線では、P-SEP高値群で生存率がより低かった。【結論】既存の報告の通り、実臨床においてもP-SEP値とSOFAスコアや死亡率には有意な関係があることが示唆された。40症例の中間報告で得られた傾向をもとに、約300症例での検討を加えて報告する。