第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

鎮痛・鎮静・せん妄 研究

[P53] 一般演題・ポスター53
鎮痛・鎮静・せん妄 研究01

Sat. Mar 2, 2019 11:00 AM - 11:50 AM ポスター会場12 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:神山 治郎(さいたま赤十字病院)

[P53-2] 本邦の鎮静・鎮痛・せん妄管理とPICS予防に関する実態調査

白坂 雅子1, 卯野木 健2, 櫻本 秀明3, 大内 玲4, 佐土根 岳5, 藤谷 茂樹6 (1.福岡赤十字病院 ICU/CCU, 2.札幌市立大学 看護学部 成人看護学領域 急性期看護学, 3.茨城キリスト教大学 看護学部 看護学科 成人看護学, 4.筑波大学附属病院 集中治療室, 5.北海道医療大学 看護福祉学部 看護学科 成人看護学講座, 6.聖マリアンナ医科大学 医学部 救急医学 集中治療部)

【背景】重症患者に対する、鎮静・鎮痛・不穏の管理及びPost-intensive care syndrome(PICS)の予防は予後と関連する重要な問題であるが、推奨されている実践方法がどの程度行われているかに関しては限られた知見しかない。
【目的】日本における、重症患者に対する鎮静・鎮痛・せん妄管理およびPICS予防に関する実践を明確化する。
【方法】研究デザインは横断的実態調査研究である。2018年9月9日から7日間、ICU・HCUに勤務する看護師を対象にSurvey Monkeyを利用したWeb上アンケート調査を実施した。アンケートはJSEPTIC看護部会、集中ケア認定看護師会のメーリングリストで広報した。アンケート項目には施設の特性、ICUの管理方式、看護師の勤務人数、鎮静・鎮痛・せん妄管理およびPICS予防に関する26項目を採用した。
【結果】201の回答を得、45の回答を除外、最終的に156の回答を分析した。ICUは63%、救命救急センターのICUは24%、HCUは13%であった。大学病院は25%であった。鎮静目標が明確にされている施設は61%であり、目標鎮静の設定は、毎日見直す26%、毎日ではないができるだけ見直す43%であった。ほぼすべての施設で鎮静スケールをルーチンに使用しており、スケールはRASSが使用されていた。鎮静深度の評価頻度は中央値(IQR)が2(2-4)時間毎であった。自己報告できない患者に対する客観的疼痛評価は76%で行われ、その評価頻度は3(2-4)時間毎であった。せん妄評価ツールをすべての患者に使用している施設は、59%であったが、全く使用していない施設は12%にとどまった。せん妄の評価頻度は8(4-8)時間毎であった。睡眠を促進するために組織的に睡眠プロトコルを導入している施設はなかった。ICU日記は、全く使用していない施設が74%に上った。
【結語】本調査より、重症患者に対する鎮静・鎮痛・せん妄評価は広く普及しつつあるが、PICS予防も含めると未だ不十分であった。今後も適切な鎮静・鎮痛・せん妄管理、PICS予防の普及に組織的に取り組む必要がある。