第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

鎮痛・鎮静・せん妄 研究

[P53] 一般演題・ポスター53
鎮痛・鎮静・せん妄 研究01

Sat. Mar 2, 2019 11:00 AM - 11:50 AM ポスター会場12 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:神山 治郎(さいたま赤十字病院)

[P53-4] 小児人工呼吸患者の鎮痛・鎮静レベルの評価:COMFORT-Bスケールの使用経験

田根 なつ紀, 高島 拓也, 鈴木 康大, 上野 義豊, 中西 信人, 西川 真理恵, 奥田 菜緒, 中瀧 恵実子, 板垣 大雅, 大藤 純 (徳島大学病院 救急集中治療部)

【背景】小児の鎮痛・鎮静レベルの評価は、信頼性が検証されたスケールが限られておりほとんど行われていない。今回、小児のCOMFORT-Bスケールを導入して小児の鎮痛・鎮静を評価した。【方法】単施設前向き観察研究で、2017年10月から2018年7月の期間に当院ICUに入室した15歳以下の24時間以上人工呼吸患管理をした患者を対象とした。脳性麻痺・低酸素性脳症患者は除外した。COMFORT-Bスケールの日本語版を作成し、ICU在室期間中、担当看護師が2-4時間ごとに記録した。COMFORT-Bスケールは、覚醒度や興奮、体動などの6項目から構成され、各1-5点で評価し、合計点によって鎮痛・鎮静深度を評価するものである。合計点が10点以下を深鎮静、11-17点を適正、18点以上を不快と定義した。主要評価項目は、入室後7日間の人工呼吸管理中の適正な鎮痛・鎮静レベルの期間を算出した。副次評価項目は入室後72時間までの鎮痛・鎮静レベルを入室後-24時間、25時間-48時間、49時間-72時間で評価した。【結果】小児人工呼吸患者10人を対象とした。そのうち気管切開患者1人(10%)、患者背景は年齢中央値1(0-7)歳、人工呼吸日数中央値3(1-15)日、ICU在室日数中央値8(2-17)日であった。スケールは計200回測定され、適正な鎮痛鎮静レベルは53.0%(106回)であった。入室後-24時間(測定回数の合計n=60):深鎮静68.3%、適正23.3%、不快8.3%、25-48時間(n=48):深鎮静50.0%、適正43.7%、不快6.3%、49時間-72時間(n=31):深鎮静25.8%、適正71.0%、不快3.2%で、入室後の鎮痛・鎮静レベルの推移は入室後-48時間で特に深鎮静の割合が高かった。(p<0.0001)【結論】COMFORT-Bスケールの日本語版を作成し小児の鎮痛・鎮静レベルを評価した。人工呼吸管理中、適正な鎮痛・鎮静レベルはおよそ1/2の時間で達成されていた。特に入室後48時間は深鎮静の傾向が強かった。今後、COMFORT-Bスケールを活用し、適切な鎮痛・鎮静を目指したい。