[P53-5] 心臓手術における術後長期ICU滞在とFrailty(脆弱性)の関連性についての検討
背景:近年心臓手術において、患者の高齢化に伴いFrailty(脆弱性)を伴った患者も増加しており予後に影響すると報告されている(1)。また術後長期ICU滞在はPISC(集中治療後症候群)の発症頻度を増やし、術後のQOLを低下させるだけでなく、長期予後に影響すると報告されている(2)。しかしながら、Frailty患者と術後長期ICU滞在との関連性は依然明らかではない。今回、我々は、Frailtyを術前に評価し、術後長期ICU滞在が96時間以上を超える場合との関連性を検討した。方法:対象は2017年7月から2018年2月の期間に、当院における成人の心臓手術および大血管手術の139例で術前にFrailtyを評価し、術後長期ICU滞在との関連性を前方視的に検討した。Frailtyの評価にはClinical Frailty Scale(CFS:9点満点)(3)、Cardiovascular Health Study (CHS index)(4)を用いた。主要評価項目はICU滞在時間、96時間以上で、説明変数はCFS4点以上、CHS index3点以上とし、交絡因子を年齢(70歳以上)、性別、術後譫妄の有無(ICDSCにて3点以上で譫妄と判断)、手術の種類、EUROSCORE2、STS score、JapanSCOREとして多変量ロジスティック回帰分析を行った。結果:記録不備のものを除外し、対象人数は131人となった。96時間以上ICUに滞在したのは38名であった。ロジスティック回帰分析の結果、Frailtyと長期ICU滞在は有意な関連性は認めず(CFS: odds=1.20 95%CI 0.90-1.62 p=0.23,CFS4以上:odds=1.45 95%CI 0.67-3.15 p=0.34 CHSI3項目以上: odds=1.70 95%CI 0.45-6.42p=0.43)、EuroSCORE2が術後長期ICU滞在と有意な関連性を認めた(odds=1.35 95%CI 1.01-1.80 p=0.04)結語:本研究において、Frailtyと術後ICU滞在日数に関連性は認められず、Euroscore2と長期ICU滞在の間に有意な関連性を認めた。