第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

鎮痛・鎮静・せん妄 研究

[P54] 一般演題・ポスター54
鎮痛・鎮静・せん妄 研究02

Sat. Mar 2, 2019 11:00 AM - 11:50 AM ポスター会場13 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:山田 親代(京都府立医科大学)

[P54-1] 人工呼吸器管理症例に対するBPS導入の取り組み~BPS導入前後の痛みの管理・鎮静管理の比較~

福田 裕子, 荒井 隆史, 山田 堅一, 加藤 久賀, 福西 由貴子 (那須赤十字病院 ICU)

当院ICUでは人工呼吸器管理患者に、Richmond Agitation-Sedation Scale(以下RASS)を使用し鎮静管理をしているが、スケールを用いた痛みの評価はしていなかった。J-PADガイドラインが発表され、適正な鎮静には、鎮痛優先の鎮静が推奨されている。痛みの評価の必要性は感じているが、個人の経験や知識によって、患者の体動、表情、血圧上昇などで鎮静薬を増量している傾向があり、適切な痛みの管理が出来ていない現状があった。そこで痛みのスケールとして、Behavioral Pain Scale(以下BPS)を導入した。目的:BPS導入は、現状の痛み・鎮静管理の改善に効果があると考え、導入前後で人工呼吸器管理患者の背景、鎮痛薬の量、痛みの介入記録、ICU在室日数、人工呼吸器装着日数などを比較し、変化を明らかにした。方法:後方視的研究(一部前向き研究)。対象患者:2016年10月~2017年3月、フェンタニルを持続投与し、鎮静薬を使用し人工呼吸器管理をしていたA群と2017年10月~2018年3月、上記症例でBPSで管理したB群。ICU看護師24名。介入方法:2017年4月、スタッフに痛み・鎮静管理に関するアンケートを実施し、現状結果を報告し、J-PADガイドラインより鎮痛・鎮静管理、BPSに関する勉強会を実施した。その後、BPS導入に対する反応をアンケートで確認し、鎮痛薬・鎮静薬、BPSの評価方法の勉強会を実施した。研究者がチェック表を用い、全員にBPS評価の指導を実施し、再び反応や理解を確認するアンケートを実施した。導入3か月後、BPS評価の再確認と指導を実施した。導入6か月後に4月と同じアンケートを実施し比較した。A群、B群のSOFAスコアなどの患者背景、人工呼吸器装着後48時間の体重あたりのフェンタニル投与量、RASSの指示とのずれ、痛みの介入記録、ICU在室日数、人工呼吸器装着日数を比較し、統計解析にSPSSver23を用いた。結果:A群27名、B群23名で、SOFAスコア(p=0.795)、フェンタニル量(p=0.099)、人工呼吸器を装着して24時間のRASS(p=0.480)、48時間のRASS(p=0.480)ともに有意差はなかった。48時間の痛みの介入記録(p=0.001)はB群は有意に多かった。ICU在室日数(p=0.041)、人工呼吸器装着日数(p=0.023)は、B群は有意に短かった。結論:人工呼吸器管理患者にBPSを導入し、痛み優先の鎮静管理に取り組んだ結果、スタッフの痛みに対する意識を高め、ICU在室日数、人工呼吸器装着日数が短縮される可能性が示唆された。