第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

鎮痛・鎮静・せん妄 研究

[P54] 一般演題・ポスター54
鎮痛・鎮静・せん妄 研究02

Sat. Mar 2, 2019 11:00 AM - 11:50 AM ポスター会場13 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:山田 親代(京都府立医科大学)

[P54-6] せん妄とA病院のせん妄要因チェックリストの関連性の報告 ˜せん妄要因の早期発見・適切な介入への取り組み˜

竹内 藍, 石田 恵充佳 (武蔵野赤十字病院)

【背景】せん妄のリスク因子に関する研究は多数あるが、因子の具体的な項目や基準値は示されておらず個別性のあるせん妄ケア介入に難渋していた。せん妄患者への適切な介入には、患者ごとのリスク要因の把握が必要と考え、A病院ICUでは先行文献で述べられているリスク因子に、基準値を加えたせん妄要因チェックリスト(以下、チェックリスト)を作成し運用している。看護師はチェックリストの必要性を感じて活用しているが、80項目以上の臨床データを評価することに時間を要し、スムーズな介入が難しいという問題が生じていた。そこで、せん妄のリスク要因を迅速に抽出し適切な介入を実現するには、チェックリストを簡略にする必要があると考え、実際の臨床データをもとに評価項目の見直しに取り組んだ。【目的】ICU入室後のせん妄に関連する因子を抽出し、チェックリストを簡略化することである。【方法】2016年4月から2018年3月、ICU入室の翌日以降にCAM-ICU陽性もしくはICDSC4点以上となった18歳以上の患者を対象に、診療録より後ろ向きに情報を得た。従属変数をせん妄の有無、独立変数をチェックリストの36項目83の臨床データとし、変数選択の上ロジスティック回帰分析を行い有意水準p=.05とした。変数は、独立変数間の相関が高く影響の大きい変数を除去後、せん妄の要因と考えられる20項目とした。情報漏洩を防ぐため、任意の番号による匿名化とパスワードによるデータ管理を確実に行った。R version 3.4.4 (2018-03-15)を使用した。【結果】ICU入室患者1094人、年齢の平均は66歳(SD±17)であった。主病名は、うっ血性心不全、CPA蘇生後、くも膜下出血、敗血症性ショックなど様々で、ICU滞在日数の中央値は3日(IQR,2-5)であった。分析対象は371人、分析結果OR(95%CI)は、年齢1.04(1.02-1.06)、精神疾患の既往5.62(2.54-12.41)や脳卒中の既往2.45(1.27-4.75)、ナトリウム値0.994(0.989-0.999)、カルシウム値1.53(1.02-2.31)、収縮期血圧0.98(0.97-0.99)、BPS 1.29(1.13-1.47)、体温1.76(1.22-2.57)で有意差を認めた。【結語】実際の臨床データをもとにチェックリストの見直しを行った。チェックリスの簡略化によりリスク要因を早期に発見し、精神疾患や脳卒中の既往に由来する精神状態や認知機能の脆弱性を考慮した関わり、意識障害に影響を及ぼす電解質異常の発見、組織低灌流へのケアと原因検索、痛みコントロールなど適切な介入につなげたい。