[P56-2] NPPVケアの標準化を目的としたアセスメントチャートの作成-鎮静鎮痛せん妄のアセスメントツールを活用して-
【背景】人工呼吸器管理中の鎮静鎮痛に関して各学会よりガイドラインが示されており、挿管管理中の患者に関して常に鎮静・鎮痛・せん妄をアセスメントし評価していくことの重要性が示されている。一方、NPPVに関する鎮静鎮痛のガイドラインは存在せず、各施設でのプロトコール策定が推奨されている。当院HCUにおいては、NPPV装着患者に対してRASS・ICDSCのツールを使用しての鎮静やせん妄の評価は行っていたものの、鎮痛に対する取り組みがなされていなかった。そのため、鎮静のみによるコントロールによってNPPV装着継続に難渋した症例や、緩和目的の装着であったにも関わらず、苦痛緩和のタイミングが遅くなってしまった症例、医師・薬剤師・MEなどとの連携・協議不足やそのタイミングの遅延、薬剤導入のタイミングや調整に看護師によって差が生じるという問題点があった。【目的】そこでRASS・NRS(もしくはCPOT)・ICDSCのアセスメントツールを活用しつつ、NPPVケアのアセスメントチャートを作成、患者の現状を可視化し、NPPV管理の標準化を目指した。【方法】本年度4月~8月までにNPPV装着した患者を抽出し分析、担当した看護師に対して、鎮静・鎮痛・せん妄、管理やケア面で困難と感じた内容に関して聞き取りを行った。それを基に、すでに当院救命センターで作成されている挿管患者に対する鎮静鎮痛のプロトコールを参考にし、医師・薬剤師・MEと協議しアセスメントチャートを作成した。【結果】【結論】NPPVケアのアセスメントチャートを作成し運用を開始した。鎮静に関してはRASS、せん妄に関してはICDSCを以前から使用していたが、アセスメントチャートの作成により、より臨床に有効な運用が出来るようになった。またアセスメントチャートで患者の現状を総合的に可視化できるため、患者の現状に合わせた薬剤の選択及び増減、適切なタイミングで多職種と協議でき、看護ケアとしての非薬物療法の選択肢も看護師の資質による差を減少させることにつながった。しかし鎮痛の評価に関しては、“痛み”を呼吸苦やマスク装着の不快感等に置き換えNRSで評価としたが、挿管患者のように痛みという明確な感覚ではないため、患者の表現が曖昧であることが多く、それをどのように評価につなげていくかという問題点も明らかになった。今後運用をかさね、問題点の改善につなげていく予定である。