[P57-1] 間接熱量計を用いた経腸栄養持続投与プロトコールの有用性に関する検討
【背景】当院ICUでは2015年より目標投与エネルギーを25kcal/kg/dayに設定した経腸栄養持続投与プロトコール(以後プロトコールとする)を導入した。その結果、経腸栄養を主体とした栄養投与プランの確立、消化器症状等有害事象の低減効果を得ることができた。今回間接熱量計により重症患者における呼吸代謝動態の計測結果を得た。【目的】間接熱量計により測定された重症患者における呼吸代謝動態からプロトコールの有用性について検討を行う。【方法】対象者は頭頸部手術を受けICU入室となった患者とした。対象者は入室~退室まで連日呼吸代謝モニターによる測定が行われていた。測定機器はCCM ExpressR Indirect Calorimeterが用いられた。対象者の呼吸代謝モニターによる測定データ、投与栄養量、検査データより分析・検討を行った。【結果】対象者は男性3人、平均年齢60.3±16.6歳、平均BMI21.3±2.8であった。平均手術時間711±73分、平均ICU在室日数4日であった。手術後の平均安静時エネルギー消費量(REE)及び呼吸商(RQ)は、術後1日目:REE1283.3±84.4kcal/day(21.8±2.5kcal/kg/day), RQ0.95±0.08、術後2日目:REE1389.0±35.7kcal/day(23.7±4.0kcal/kg/day), RQ0.92±0.07、術後3日目:REE1398.7±214.9kcal/day(23.5±1.3kcal/kg/day), RQ0.95±0.02、術後4日目:REE1638.3±606.4kcal/day(26.9±5.8kcal/kg/day), RQ0.91±0.05であった。経腸栄養+経静脈栄養による平均1日総投与エネルギー量(Total calorie intake;Tc)は、術後1日目:Tc 399.7±48.5kcal/day(6.8±0.9kcal/kg/day)、術後2日目:Tc 1463.7±76.8kcak/day(24.9±2.9kcal/kg/day)、術後3日目:Tc 1726.3±46.3kcal/day(29.4±4.2kcal/kg/day)、術後4日目:Tc 1698.7±25.3kcal/day(28.9±4.6kcal/kg/day)、術後5日目:Tc 1676.0±300.0kcal/day(28.3±4.4kcal/kg/day)であった。平均1日総投与蛋白量(Total protein intake;Tp)及び窒素バランス(Nb)は、術後1日目:Tp 0g/day , Nb -12.59±3.16g/day、術後2日目Tp 79.6g/day(1.36±0.20g/kg/day), Nb0.85±3.14g/day、術後3日目98.6g/day(1.68±0.25g/kg/day), Nb 4.11±3.47g/day 、術後4日目Tp 98.6g/day(1.68±0.25g/kg/day), Nb 0.76±2.86g/dayであった。【結語】プロトコールは、ovefeedingを回避し、REEを充足する栄養投与プランを提供していた。