第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

患者管理

[P59] 一般演題・ポスター59
患者管理03

Sat. Mar 2, 2019 11:00 AM - 12:00 PM ポスター会場18 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:大石 佐奈美(社会福祉法人聖隷福祉事業団総合病院聖隷三方原病院看護部 ICU)

[P59-2] 生命危機場面における病棟看護師の躊躇の実態調査

大野 直子, 横野 知江, 内山 美枝子, 小山 諭 (新潟大学 大学院 保健学研究科)

【背景】近年本邦では、生命危機場面における院内対応システムが普及しつつあるが、病棟看護師(以下Ns.)がシステム対応時にどのような不安や躊躇を抱くのか、その内容は明らかになっていない。そこで、生命危機場面で主に関わるNs.の躊躇の実態を明らかにし、その対応策を考える必要がある。
【目的】Ns.の院内対応システム対応時の躊躇の実態を明らかにする。
【方法】平成29年4月から12月に無記名自記式質問紙による実態調査を行った。対象は、生命危機場面での対応を経験したことがあるNs.とした。なお、Ns.の躊躇の特徴を明らかにするため病棟医師(以下Dr.)にも調査を行った。質問内容はNs.とDr.に対し「対応時の躊躇経験の有無」「躊躇の理由(自由記載)」、Ns.に対し「生命危機場面におけるNs.自身の役割(自由記載)」とした。自由記載はカテゴリー化し出現頻度をカウントした。
【結果】Ns.の配布数158、回収数103(回収率65.2%)、そのうち有効回答数は88(有効回答率85.4%)であった。Dr.は、配布数120、回収数63(回収率52.5%)、そのうち有効回答数は52(有効回答率83.9%)であった。「対応時の躊躇経験あり」と回答したものは、Ns.47名 (53.4%)、Dr.12名(23.1%)だった。Ns.の躊躇の対象は1)生命危機場面、2)蘇生処置、3)診療補助、4)役割の遂行、5)医師との情報共有、6)看護師の采配であった。それぞれの理由として最も多かったものは、1)初めての直面、2)自信のなさ、3)自信のなさ、4)役割が分からない、5)メンバーの混乱と苛立ち、6)混乱した状況、だった。Dr.の躊躇の対象は、1)蘇生処置、2)要請への参加、3)役割の遂行、であり、それぞれの理由として最も多かったものは、1)方針が不明確、2)担当医・専門医がいる、3)スタッフが大勢いる、であった。「Ns.自身の役割」の問いには77名が回答し、そのうち「分からない」と回答したものは23名だった。役割としては、「情報を繋ぐ」「リーダーシップ」「臨機応変に対応」等、10個のカテゴリーが挙がった。
【結論】Dr.と比べNs.の対応時の躊躇の対象及び理由は多岐に渡り、自身の役割が「分からない」と回答したものが回答者の約3割であった。以上から、Ns.の対応時の躊躇には、役割が広範囲であり、自信が持てないことや混乱が関連している可能性がある。このことから今後は、生命危機場面における対応時のNs.の役割をより明確にすることが求められる。