[P59-4] ICUから転棟後のバックコール調査
【背景】当ICUでは転棟後のバックコールの問い合わせ(以下、call)が多く、その確認作業が業務負担となっている。【目的】業務改善と転棟後の看護ケア継続を目的としたcallの実態と、病棟看護師の求める情報の明確化。【方法】期間:2018年7月23日―8月24日。対象:転棟時の担当看護師。質問紙調査を実施し、回答よりcallの有無で2群に分け、各項目の有意差検定 (有意水準<0.05)と、call内容に対する申し送りの有無を調査。【結果】調査対象全72件中、call数は24件であった。転棟先は外科病棟・循環器内科病棟・HCUの順に多く、其々のcall率は25%、27.77%、47.05%とHCUが最多であった。call無群(以下、無群)とcall有群(以下、有群)間の転棟先・診療科・申し送り手の性別・併診有無・予定外転棟有無・申し送り看護師経験年数・ICU経験年数・ICU滞在日数に有意差は認めなかった。唯一、SOFA score(以下、SOFA)のみが有群で有意に高く(無群:3.31±2.83vs有群:5.08±3.53、p=0.02)、call率最多のHCUは他病棟と比べSOFA が有意に高かった(HCU:5.33±3.53vs他病棟:3.43±2.90、p=0.02)。またSOFAの全体平均値3.90を上回る時にcall率は高かった(平均以下:21.62%vs平均以上:45.71%、p=0.04)。一方、申し送り看護師・ICU経験年数におけるcall有無に有意差は認めなかったが(無群:6.75±5.15vs有群:7.29±4.11、p=0.65)(無群:17.29±21.68vs有群:27.83±31.89、p=0.10)、両者共にcall有群で経験年数が多かった。申し送り看護師経験年数の平均20.80ヶ月以上では有意にSOFAが高かった(平均以下:3.30±2.74vs平均以上:5.45±3.74、p=0.009)。申し送り所要時間・受け持ち時間とcall有無には有意差を認めなかった(無群:11.31±6.37vs有群:12.58±10.00、p=0.51)(無群:208.43±106.93vs有群:229.58±115.38、p=0.44)。call内容は7種に分類でき、最多は指示に関連する内容(30%)、記録(21%)、薬剤(15%)、患者の私物(13%)、患者留置物(10%)、食事・飲水(5%)、他(6%)と続いた。全callの26%は、伝達事項の再確認であった。【結論】call率は重症度に影響を受ける。申し送り看護師・ICU経験年数が多いほど重症患者を受け持つ故にcallが多い傾向にある。申し送り所要時間や受け持ち時間は、call率に影響が少ない可能性が示された。病棟看護師が求める情報としては、伝達事項の再確認が多く、電子カルテ上で確認可能な内容である事が明らかとなった。