[P59-5] 高度急性期医療から移行する患者へのTransition of careの現状とシームレスケアへの課題
高度急性期医療から移行する患者へのTransition of careの現状とシームレスケアへの課題三井記念病院 HCU病棟 豊田 舞【背景】近年「患者が異なる施設へ移動する、もしくは同施設でも医療レベルが変わる際に、医療によるケアの調整および継続性が保障されるために必要な行動」が重要視されている。【目的】当院の高度治療室(HCU)入室患者は、通常回復後に一般病床へ転棟しHCUより直接退転院する患者は少ない。そこでHCUからの退転院においてTransition of careの視点からシームレスな医療を提供するための課題を明らかにする。【方法】Social Hospital Medicineが作成した退院サマリー必要項目から看護に関する1.入院時プロブレム2.簡潔な入院経過3.退院時身体機能、認知機能4.患者に行った教育とその理解度5.予測される問題とその対策6.急変時の対応の6項目が看護サマリーに記載されているかを調べた。対象は2015年3月～2018年4月にHCUより転退院した患者14例。【結果】自宅退院は1例、多職種カンファレンス、自宅環境調査を実施していた。転院は13例、1入院時プロブレム2簡潔な入院経過5予測される問題とその対策は全例で記載あり、更に処置等の別紙送付が1件あった。記載不足は4患者に行った教育とその理解度12件(92％)、6急変時の対応10件(77％)、3退院時身体機能、認知機能4件(31％)で、全項目を記載しているものはなかった。6医師記載ではDNAR記載があるが看護サマリーは記載がないものが4件あった。【結論】自宅退院支援では十分な引き継ぎがされていた。転院支援は3は記載率が高く必要性の理解度は高いが、看護師により記載方法が様々で十分に情報が伝えられない可能性があった。4は意識レベルにより指導的介入困難例があり評価できず。5は処置に対し細やかな情報提供が出来ていた。6は看護サマリーに記載なしが多く患者家族の意向確認支援不足と言え、医療依存度が高いHCU看護師の急性期の生命維持が優先されやすいという特徴が影響していると思われた。転院症例では紙面のみでの医療バトンの引き継ぎのため看護サマリーの重要性は非常に高いと考えられ、今回の検討より看護サマリーの必要項目の周知、評価方法の統一、意向確認支援の課題が明確となり、それらを充足することで“シームレスケア”の提供が可能になると考える。