[P6-3] 敗血症性ショックとテトラヒドロビオプテリンの関連
【背景】敗血症性ショックは、未だ予後不良の難治性病態である。末梢血管拡張を特徴とするこの病態形成に、一酸化窒素(NO)が大きく関与していることはこれまでの研究で明らかにされており、このNOの産生に必須な物質の一つが一酸化窒素合成酵素(NOS)の補酵素であるテトラヒドロビオプテリン(BH4)である。本研究は、敗血症におけるBH4の体内動態とクリアランスデータの取得を目的とし、BH4を指標とした新たな治療戦略獲得に向けた研究開始前のパイロットスタディである。【目的】本研究では、敗血症患者より採取した血液および持続血液濾過透析(CHDF)回路中のBH4および関連代謝物の濃度を経時的に測定し、その体内動態とCHDFにおけるクリアランスデータ取得を目的とする。【方法】対象患者:当院ICUに入室した20歳以上の敗血症患者、敗血症性ショック患者、予定手術後患者、健常人評価項目:血中、CHDF回路のカラム直前、直後のBH4および関連代謝物の濃度【結果】敗血症性ショック患者、敗血症患者、ICUコントロール、健常人の間でBH4濃度に差は認められなかったが、その代謝産物であるジヒドロビオプテリン(BH2)濃度は敗血症性ショック患者において明らかな上昇を認めた。またBH4とBH2の濃度は、CHDF回路のカラム前後で明らかな濃度差を認め、CHDFによりBH4とその代謝産物の除去が可能であった。【結論】 本研究により、敗血症性ショックの病態にBH4とその代謝産物が関与していることが示唆された。今回の結果を考察を含めて発表する。

