[P6-5] プロプラノロールはLPSで誘導されるTNF-α mRNA発現量に及ぼすエピネフリンの効果に拮抗する
【背景】カテコラミンは生体の免疫機能を修飾するといわれている.最近の臨床研究により,β遮断薬が敗血症の予後を改善する可能性があることが示された.【目的】今回われわれは,マウスマクロファージ様細胞RAW 264.7細胞を用いて,エピネフリンがリポポリサッカライド(LPS)で誘導される腫瘍壊死因子(TNF-α)のmRNA発現に影響を及ぼすかについて検討した.更に,プロプラノロールがエピネフリンの効果に与える影響についても検討した.【方法】RAW 264.7細胞を,37℃,二酸化炭素5%の中で,ウシ胎児血清10%,ペニシリン100単位/ml,ストレプトマイシン100mg/mlを加えたダルベッコ改変イーグル培地で培養した.<実験1>エピネフリン(0.01, 0.1, 1, 10, 100μM/L)を添加した.<実験2>LPS (100ng/ml) 添加後,エピネフリン(0.01,0.1,1,10,100μM/L)を添加した.<実験3>LPS (100ng/ml) 添加後,エピネフリン(1μM/L) 添加し,プロプラノロール (100,200μM/L) を添加した.それぞれの過程のあと,TNF-α mRNA発現量をリアルタイムPCR法により定量した.【結果】エピネフリンは用量依存的にTNF-α mRNA発現量を有意に減少させた.LPSはTNF-α mRNA発現量を有意に増加させた.エピネフリンはLPSに誘導されたTNF-α mRNA発現量を有意に減少させた.プロプラノロールはエピネフリンによって抑制されたTNF-α mRNA発現量を有意に増加させた.【結論】エピネフリンはRAW 264.7細胞において,ベースライン並びにLPSで誘導されるTNF-α mRNA発現量を減少させた.プロプラノロールはTNF-α mRNA発現量に及ぼすエピネフリンの効果に拮抗した.