第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

チーム医療

[P64] 一般演題・ポスター64
チーム医療04

Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 2:40 PM ポスター会場2 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:山田 知輝 (大阪警察病院 ER・救命救急科)

[P64-5] 多職種連携により救命できた高度肥満を伴う重症急性膵炎の1例

今村 友典1, 須崎 萌1, 小松 祐美1, 藤本 竜平1, 南島 大輔2, 瀬谷 陽子3, 町田 純子3, 南島 大輔4, 松原 啓祐1, 金井 尚之1 (1.東京警察病院 救急科, 2.東京警察病院 リハビリテーション科, 3.東京警察病院 看護部, 4.東京警察病院 薬剤部)

【緒言】近年,ICUでのケアの概念としてABCDEバンドルやPADガイドラインが提唱され,ICUにおける早期リハビリテーションの介入や多職種連携が重要視されている。当院でも医師と看護師に加え臨床工学技士,薬剤師,理学療法士を交えてICU患者毎に多職種で情報共有を図るリハビリプログラムを作成・活用し集学的な治療を行っている。最近,当院で経験した高度肥満を伴う重症急性膵炎患者に対しても多職種で連携し良好な結果が得られた1例を経験したので報告する。【症例】BMI 41kg/m2でアルコール多飲の46歳男性。自宅で上腹部痛を自覚,我慢できず当院へ救急搬送され急性膵炎と診断した。アルコール心筋症があり輸液管理で難渋するため当科で加療した。第2病日に急激な経過でARDSに陥り人工呼吸管理,急性腎不全で血液浄化療法を行った。第2病日中に早期離脱,早期離床に向け多職種連携カンファレンスで議論した。その結果,第4病日に気管切開を行い,早期から自発呼吸とし,迅速な鎮静薬減量と適切な鎮痛管理,第5病日から積極的なリハビリテーションを開始し離床を図った。第10病日に血液浄化療法を,第19病日に人工呼吸器を離脱した。第21病日にICUを退室し第45病日に後遺症なく独歩退院した。【考察と結語】ICU入室患者の治療をチーム全体で取り組むようになったのは諸家の報告から最近のことで,早期リハビリテーションの介入で早期離床,さらに運動・呼吸機能等の早期改善や譫妄発生率の減少,急性期離脱後のADL,QOLの向上など様々な面に良好な影響を与えることが報告されている。ICU入室中から多職種が専門知識・技術で介入し,総合的な治療アプローチを行うことが,本症例のような治療に難渋することが予想されるような病的肥満を伴う重症急性膵炎患者でも,治療成功につながる重要な因子の一つとなる可能性がある。