[P67-3] 緊急開腹術後患者の離床後に歩行練習開始が遅延する要因の検討
【背景】緊急開腹術後に人工呼吸器管理となった患者の理学療法(PT)において,離床を開始してからいかに早期に歩行練習を開始するかは,退院時の歩行獲得や入院日数に影響する.しかし,離床を開始しても様々な要因で歩行練習を開始できない症例を経験する.【目的】緊急開腹術後に人工呼吸器管理となった患者の歩行練習開始の遅延に影響する要因を検討すること.【方法】2013年12月~2018年4月に当院消化器一般外科にて緊急開腹術を施行した患者のうち,術後ICUにて人工呼吸器管理となりPTを施行した65歳以上の患者28例を対象とした.入院前の歩行が自立していなかった患者,PT実施に非協力的な患者,合併症により歩行練習が困難であった患者は除外した.対象者の離床開始から歩行練習開始までの日数の中央値を用い,中央値未満を早期群(14例),中央値以上を遅延群(14例)に分類した.これら2群間の年齢,性別,人工呼吸器装着時間,ICU入室からPT開始までの日数,ICU入室から離床開始までの日数,入院時APACHE2スコア,SOFAスコア,入院時のCT画像から計測した第3腰椎レベルの大腰筋面積をBMIで除した値(大腰筋/BMI),入院時・離床時のControlling nutritional status(CONUT)変法,離床開始時のせん妄の有無を比較検討した.【結果】対象者全体の平均年齢は79.2歳(65-90歳)で,離床開始から歩行練習開始までの日数の中央値は3.5日(0-22日)であった.大腰筋/BMIは早期群3.89±1.38(cm2/kg/m2),遅延群2.95±0.742(cm2/kg/m2)で2群間において有意差を認めた(p<0.05).その他の項目においては有意差を認めなかった.【結論】緊急開腹術後に人工呼吸器管理となった患者において,入院時の大腰筋/BMIが低値であることは,離床を開始してから歩行練習の開始が遅延する要因であった.