第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

リハビリテーション 症例

[P67] 一般演題・ポスター67
リハビリテーション 症例01

2019年3月2日(土) 14:00 〜 14:50 ポスター会場5 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:児島 範明(関西電力病院 リハビリテーション部)

[P67-4] 集中治療室退室時に精神障害を呈し理学療法に難渋した一症例

仲本 昂平1, 野中 沙恵1, 高崎 裕介1, 佐藤 英博2, 増田 直樹3, 大西 翠4 (1.社会医療法人 共愛会 戸畑共立病院 リハビリテーション科, 2.社会医療法人 共愛会 戸畑共立病院 外科, 3.社会医療法人 共愛会 戸畑共立病院 麻酔科, 4.社会医療法人 共愛会 戸畑共立病院 集中治療室看護部)

【背景】敗血症は集中治療後症候群(以下PICS)の重要な危険因子として知られている。現段階ではPICSの原因はよくわかっておらず、PICSのリスクを取り除くことや、身体機能を維持するために早期から運動を行う事が予防的治療法とされている。今回、周術期に誤嚥性肺炎による敗血症性ショックを来たし、集中治療を要した患者に対し、術翌日より理学療法を開始。早期離床も開始できたが低活動型せん妄を併発。精神科医を含めたチームでの介入により、ADL改善に繋がった症例を報告する。【臨床経過】84歳女性。入院前ADL全自立。腹痛を認め、癒着性イレウスの診断にて内科へ入院。保存的加療を続けるも経過不良であり、入院4日目にイレウス解除術(小腸切除)施行となるが麻酔導入時に吐物誤嚥。手術室で抜管し集中治療室へ入室したが、酸素化不良であるため再挿管し人工呼吸器管理を開始。術後敗血症性ショックにより、カテコラミン投与開始。POD1には急性腎不全によりCHDF開始となったが、同日より術後理学療法を開始。POD2にはカテコラミンが漸減され、CHDF回路交換中に離床を開始。POD5にCHDFが終了となり、POD6に抜管。その後はNPPV管理となり、POD8に車椅子座位を開始。POD11にNPPV離脱し、歩行訓練を開始したがPOD12に著しい活気低下を認めた。POD14に一般病棟へ転棟後、悲観的な発言や歩行、食事拒否が続き、POD16より精神科医師が介入。うつ状態と低活動型せん妄の併発と診断され、薬物療法を主に治療を開始。活動性低下は遷延したが、ADL場面での訓練や運動療法を継続。POD20から症状が改善傾向を示し離床機会も増加。POD34にBarthel Index:80点まで改善し、同法人内リハビリテーション病院に転院となった。【結論】本症例は集中治療室退室直前にうつ状態と低活動型せん妄がみられ、「きつい」「早く楽になりたい」等、悲観的な発言が多く不眠や食欲・集中力低下により理学療法の継続に難渋した。一時的にADLは低下したが、多職種と協働しADL場面での離床、趣味活動(折り紙)、家族面会時に理学療法を行い、現状を理解して頂く機会を増やした。さらに、精神科医師を含めたチームでの介入により、症状が改善傾向を示しADL改善に繋がったと考える。これらの事から、PICSの予防には早期に精神機能低下に気付き多職種で対応する事が重要であり、家族に対しても同時期から関わる事が必要であると再認識した。