第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

リハビリテーション 症例

[P68] 一般演題・ポスター68
リハビリテーション 症例02

Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 2:40 PM ポスター会場6 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:松木 良介(関西電力病院 リハビリテーション部)

[P68-1] 重度のICU-AWを発症した患者の歩行訓練に使用したサドル付き歩行器についての報告

安田 雅美1, 稲葉 守彦1, 市橋 理恵子1, 鈴木 辰幸1, 坂本 一路1, 加藤 裕子2, 田中 明美2, 笹野 信子3 (1.名古屋市立西部医療センター リハビリテーション科, 2.名古屋市立西部医療センター 麻酔科, 3.名古屋市立西部医療センター 麻酔科 集中治療部)

【背景】集中治療領域において、早期離床を安全かつ効果的に実施するためには、患者の身体機能に合った動作補助物品の選択、準備を行うことが理学療法士の役割の一つとして重要である。今回、人工呼吸器装着下で長期間ICU管理を要した患者にサドル付き歩行器を用いた歩行訓練を実施したので報告する。【目的】2016年1月~2018年3月の期間に行った当院ICUのリハビリ状況調査では、48時間以上人工呼吸器管理となった成人患者の約9割に対して、挿管翌日からリハビリ介入がされていた。このうち、50.9%でICU滞在中に歩行訓練が実施され、サドル付き歩行器を使用した症例は8例であった。今回、このなかの2例について報告する。【臨床経過1】69歳男性、小腸裂孔にて緊急手術後敗血症ショックでICU入室、人工呼吸器管理となる。入室後2日目よりリハビリ開始し車椅子に乗車。47日目からサドル付き歩行器歩行訓練開始。(MRC score36点、FSS-ICU12点) ICUに57日間滞在、退院時は杖歩行自立。【臨床経過2】72歳男性、横行結腸がん術後、癒着性イレウス、誤嚥性肺炎で人工呼吸器管理、翌日よりリハビリ開始。8日目よりサドル付き歩行器歩行訓練開始、(MRC score42点、FSS-ICU10点) ICUに11日間滞在、退院時は監視下杖歩行であった。【結論】ICUにおいて長期間人工呼吸器管理となった患者にICU-AWが高頻度に発生することは多く報告されている。ICU-AWを呈した重症患者の歩行訓練は主に呼吸、循環状態を基準に実施されるが、同時に全身の筋力低下や疲労度、持久性なども考慮して行う必要がある。一般的に立位保持、足踏みが充分行える患者に対しては、通常の歩行器を使用するが、ICU-AWを発症した患者は、歩行中の膝折れや転倒の危険性が特に高いと考えられる。今回それらを予防する目的でサドル付き歩行器を使用することでより安全な歩行訓練をICUで実施することができた。今後、MRC scoreやFSS-ICUなどの評価を基準とした歩行器の種類の選定が可能となることを検討していきたいと考える。