第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

呼吸 症例

[P69] 一般演題・ポスター69
呼吸 症例04

Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場7 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:横瀬 真志(横浜市立大学附属病院 集中治療部)

[P69-3] 血球貪食症候群および真菌感染による低酸素血症に対しECMOを用いた集学的治療により救命しえた小児の一例

辻 匠子, 菅原 陽, 高木 俊介, 桑原 香折, 安西 晃子, 濱田 貴子, 横山 暢幸, 柏木 静, 横瀬 真志, 後藤 隆久 (横浜市立大学附属病院)

【背景】EBV感染を契機に血球貪食症候群(HPS)を発症し、経過中に真菌感染から重症ARDSとなり、V-V ECMOを用いて救命し得た小児症例を経験したので報告する。 【症例】2歳9ヶ月、男児。出生発育歴に問題なし。38度台の発熱が持続し前医受診。2系統の血球減少と高フェリチン血症、高LDH血症を認め、当院紹介となった。骨髄検査で血球貪食像を認め、HPSと診断され入院加療となり、ステロイドパルス、シクロスポリン、γグロブリンを開始した。PCRでEBV陽性であり、EBVによる二次性HPSと考えられた。第4病日、血小板減少、フェリチン(2792)、LDH(1015)の高値が持続し病勢の改善を認めないため、血症交換(PE)目的にICU入室となった。【ICU入室後経過】挿管下にPEを施行し、無尿となったためCHDFを併用した。CHDFは10日で離脱したが、HPSのコントロールに難渋し、エトポシド併用の上、PEを9回試行した。第15病日に抜管したが、39度の発熱が継続し、血液培養より真菌を検出したため抗真菌薬を開始。第19病日、酸素化の悪化、胸部レントゲンで両肺野のびまん性浸潤影を認め再挿管し人工呼吸管理となった。この時点で、70-90%の高濃度酸素を必要とした。第21病日にPEEP 12cmH2OでP/F 49.5となり、Murray score3.5で人工呼吸管理は困難と考えV-V ECMOの適応と判断した。同日右内頚静脈から脱血管、右大腿静脈から送血管を挿入しECMOを確立。ECMOのFlowは1.4~1.9L/分とし、人工呼吸器はrest lung設定とした。ECMO導入7日目(第28病日)、胸部レントゲン所見と自己肺の酸素化が改善(P/F 130)したため、ECMO離脱可能と判断、離脱した。再挿管後より、HPSが再燃したため、ECMO試行中も含めPEを再開し計15回試行した。真菌感染とHPSのコントロールがついたことで酸素化が改善し、第42病日に抜管。第48病日にICU退室となった。【結語】低酸素血症に対するECMOの有用性は結論が出ていないが、本症例は早期にECMOを導入し、rest lung設定とすることで傷害された肺の改善を待ち、その間に感染症と原病であるHPSをコントロールできたため、重大な合併症もなく救命、回復をし得たと考えられた。