[P72-5] 気道狭窄に併発したたこつぼ心筋症による心原性ショックに対してHybrid ERでVA-ECMOを導入し救命し得た一例
【症例】高血圧、高脂血症、糖尿病のある70歳男性。入院1ヶ月前より咳嗽があったが医療機関は受診していなかった。入院同日、呼吸困難・意識障害にて救急搬送された。Hybrid ERで初療を開始した。病着時、意識GCS E1V1M4、心拍数 108bpm、血圧166/119mmHg、呼吸12回/分、SpO2 70%(リザーバーマスク10L)であった。Stridor聴取し、頸部は腫脹していた。上気道狭窄に対して気管挿管を行い気道確保した。心電図では左脚ブロックでV2-V4誘導でST-T上昇があり、心臓超音波検査では心基部後壁以外の壁運動が著しく低下していた。その後、循環虚脱となりHybrid ER にてVA-ECMO導入した。その後冠動脈造影に移行したが、血行動態破綻の原因とはなるような病変はなかった。頚部CTでは右甲状腺巨大腫瘤と内部出血、気管圧排像が認められた。IABPもHybrid ERで挿入した後にICU入室した。入室後はECMOおよびIABP下で少量カテコラミン投与を要したが循環は安定して経過した。第2病日には心臓超音波上壁運動は改善し、心原性ショックの原因は気道狭窄によるたこつぼ心筋症の合併と判断した。第2病日 にECMO、第3病日にIABPを離脱した。その後、気管切開時に腫瘤の生検を施行し、甲状腺乳頭癌の診断に至り、第56病日に治療目的に他院へ転院となった。【考察】気道狭窄が原因で心原性ショックを呈するようなたこつぼ心筋症を合併し、VA-ECMOを導入し救命しえた。気道の異常、たこつぼ心筋症による循環の異常に対してVA-ECMOを迅速に導入することによりABCの管理や精査を滞りなく迅速に行う事ができた。