[P73-4] 呼吸不全に対するVV-ECMO管理中に右心不全を合併しVAV-ECMOへ変更し救命し得た1例
【背景】重症呼吸不全に対しVeno-Venous Extracorporeal membrane(以下;VV-ECMO)が用いられる。管理中の問題の一つとして右心不全がありVeno-Arterial ECMO(以下;VA-ECMO)への変更した報告が散見されるが、左心機能が保たれていた場合上半身に酸素化されない血液が還流する可能性がある。今回我々はインフルエンザ感染後細菌性肺炎合併に対し当初VV-ECMO導入も右心不全の併発からショック状態となりVAV-ECMOへ変更、救命し得た一例を経験した。VAV-ECMOの報告は少なく適応、有効性等については議論があるが、VV-ECMO管理中に合併する右心不全に対し有効であると考えられたので若干の文献的考察を交えて報告する【症例】43歳男性。特記すべき既往歴なし【現病歴】X-5日38度台の発熱あり、職場にインフルエンザ感染症が流行していたが医療機関受診せず市販薬にて経過をみていた。X-4日呼吸苦が出現。X日当院を独歩受診、意識清明も顔面蒼白、室内気にてSpO280%と著明な低酸素血症を認められた。インフルエンザ抗原キットにてA型陽性、胸部レントゲンにて両肺に浸潤影あり、インフルエンザ関連重症肺炎と診断された。抗生剤、抗ウィルス剤投与、また直ちに気管挿管され人工呼吸器管理行われるもFiO21.0にてSpO280%前半でありVV-ECMOの適応と考えられた。同日ICU入室、右大腿静脈脱血(24Fr)、右内頸静脈送血(20Fr)にてVV-ECMO確立、人工呼吸器をrest lung設定とし管理された。合併症なく経過も第12病日低血圧、乳酸アシドーシスの出現、肝胆道系酵素の上昇、超音波検査にて右心系拡大、右心壁運動低下を認め右心不全の併発と考えられた。ドブタミン使用も改善せず、左心機能も保たれておりVA-ECMOでは管理不十分になる可能性が想定されVAV-ECMOの適応と考えられた。右大腿動脈送血(16Fr)を追加しVAV-ECMO管理とした。導入後乳酸アシドーシス、右心不全改善し第16病日ECMO離脱、第22病日経口摂取開始、第35病日リハビリ目的に近医転院した。【結語】今回我々はVV-ECMO管理中に合併した右心不全に対しVAV -ECMOへ変更し救命し得た1例を経験した。