第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

感染・敗血症 症例

[P8] 一般演題・ポスター8
感染・敗血症 症例02

Fri. Mar 1, 2019 11:00 AM - 11:50 AM ポスター会場8 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:安宅 一晃(奈良県総合医療センター 集中治療部)

[P8-5] 多臓器障害、横紋筋融解症の原因としてtoxic shock syndrome(TSS)と診断した一例

安藤 諭, 自見 孝一朗, 荒川 立郎, 森田 恭成, 村田 哲哉, 近藤 貴士郎, 鈴木 秀一 (名古屋医療センター救命救急センター)

【背景】toxic shock syndrome(TSS)は黄色ブドウ球菌の感染にともなって,局所で産生されたtoxic shock syndrome toxin(TSST-1)などの外毒素によって多臓器障害を呈する疾患である。短期間でショックや多臓器不全へと進展する可能性のある重篤な病態であり、時に致死的な経過をたどるので、早期診断と治療が重要である。TSSの一例を経験したので報告する。
【臨床経過】症例は49歳男性。自閉症スペクトラム障害、ギランバレー症候群の既往があり、自宅で引きこもって生活をしていた。9月上旬に意識障害、発熱を主訴に救急搬送された。ER受診時、意識障害、高熱、頻脈、頻呼吸を認め、qSOFA 2点であった。診察上、体幹・陰部に発赤、腫脹を認めた。検査上、多臓器障害(循環不全、DIC、急性腎障害、肝障害)、高CPK血症を認め、横紋筋融解症と診断した。人工呼吸器管理を開始し、ICU入室した。当初は病態として、熱中症や薬物関連疾患(悪性症候群など)、敗血症などが疑われた。敗血症の感染源は不明だったが、輸液負荷、ピペラシリン・タゾバクタムを投与した。第2病日より、TSSの可能性が考えられたため、ダプトマシイン、クリンダマイシンを併用し、免疫グロブリン投与、CHDFなどの全身管理を行った。血液培養は陰性で、鼻腔培養からMRSAが同定された。
【結論】TSSは早期診断が難しい場合がある。多臓器障害を伴う敗血症で感染源がはっきりしない場合、特に皮疹を伴う時にはTSSを疑うことが重要である。