第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

呼吸 研究

[P83] 一般演題・ポスター83
呼吸 研究02

2019年3月3日(日) 11:00 〜 11:50 ポスター会場1 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:門田 耕一(岡山大学病院 総合診療棟ICU/CICU)

[P83-1] 当院ICUにおける高流量経鼻酸素療法(HFT)の使用状況について

岡本 竜哉, 松田 航, 米廣 由紀, 磯田 英里, 小美濃 明子, 小川 竜徳, 深谷 隆史, 佐々木 亮, 笹井 恵美子, 木村 昭夫 (国立国際医療研究センター 救命救急センター 集中治療科)

【背景と目的】高流量経鼻酸素療法(HFT, High-Flow Oxygen therapy)はベンチュリーマスク等の通常の高流量酸素療法と非侵襲的陽圧換気(NPPV)の中間に位置する酸素療法で、最近90日死亡率が有意に改善したとの報告(NEJM: 372, 2185, 2015)もあり、大変注目されている。HFTの対象疾患はCO2の貯留を伴わない低酸素血症とされているが、ICUにおいては心不全や軽度の肺炎、さらに抜管後の酸素投与などその応用範囲は広い。当ICUは総ベッド数781床の総合病院における10床の集中治療施設であり、主に侵襲度の高い手術患者の術後管理やCCU機能、そして院内重症患者の全身管理を行っており、入室患者の約1/3に挿管・人工呼吸管理を行っている。そこで今回、当施設におけるHFTの使用状況について検討を行った。【結果】2012.4から2017.12における当施設の入室患者4391例中、HFTを使用した症例は363例、NPPVを使用した症例は215例であった。年度毎に見ると導入した2013年度は6例、2014年度は29例、2015年度は79例、2016年度は142例、そして2017年度は117例と、特に2015年以降、使用頻度が急増していることがわかった。担当科としては外科が53% で、次いで循環器・心臓血管外科であった。76% は抜管後の酸素療法として使用され、特に消化管の高侵襲度手術の術後に多く、そのうちの8割は鼻カヌラ等の低流量酸素療法に移行・離脱でき、11% はNPPVの併用にて再挿管を回避できたが、8% は再挿管となった。再挿管の理由は心不全の増悪、喀痰排泄不良、ARDSの併発が多かった。一方、I型呼吸不全に対する使用(24%)では、胃・食道がん、消化管穿孔・イレウス、肺炎、心不全・AMI、急性大動脈解離などが多かった。【結論】HFTは、ハイフローセラピー加算も算定できるようになり、死亡率や挿管期間を減らし得る新しいデバイスとして、その適応範囲は今後益々拡大していくものと考えられる。