[P83-3] NPPVマスク使用時皮膚トラブル予防のための保護剤の必要性について検討
【背景】 当院では以前から,NPPVマスク装着による皮膚トラブルの発生予防に努めており,今年度から新たな対策としてNPPVマスク装着時は保護剤を貼付するよう統一したが,現状として皮膚トラブルが発生し患者は不快に感じている.保護剤はaクッション・ドレッシング:210円/人(1cm×1cm:2円),bハイドロコロイド:420円/人(1cm×1cm:4円)を使用し,経費は当院負担である.【目的】予防的保護剤使用の導入前後で皮膚トラブル発生状況を振り返り,予防的保護剤の必要性を検討する.【対象者・方法】2017年4月~2018年8月までICUに入室しNPPV装着した患者73名を対象とし症例集積研究を行った.P<0.05を有意とする.【結果】:表A群:2017年4月~2018年3月(プロトコール導入前) B群:2018年4月~8月(プロトコール導入後)【結論】患者背景に差はないが,いずれも両群は高齢で低栄養である.顔面浮腫はB群で高頻度傾向であるが,両群間で症例数に偏りがあり検定精度は低い.予防的保護剤貼付はB群で使用率は上昇したが,実施は半数未満でプロトコールの周知不足と考える.保護剤は安価な点からaを主に使用していたが明確な有効性は確認できず,患者よりaの貼付による不快感を訴えた.NPPV導入時の記録はB群が詳細であり,内容が統一されたため,患者に生じた状況の把握と再確認ができた.今回の結果を踏まえ予防的保護剤を貼付しないこととした.NPPV使用時は,皮膚トラブル発生の前提のもと,予兆をみつけるべく,綿密な観察を行い,マスク形状変更など個別性を踏まえた対応を行い,プロトコールに組み込む必要がある.