第46回日本集中治療医学会学術集会

Presentation information

一般演題(ポスター発表)

呼吸 症例

[P85] 一般演題・ポスター85
呼吸 症例07

Sun. Mar 3, 2019 11:00 AM - 11:50 AM ポスター会場3 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:石村 圭位(大阪市立総合医療センター)

[P85-1] 心臓外科手術後にFentanyl-induced rigidityによる換気不全を来した6症例

入間田 大介, 安藤 幸吉, 櫻田 幽美子, 東海林 秀幸, 安達 厚子, 佐藤 麻理子, 黒瀧 健二, 小林 朋恵, 田村 萌 (仙台市立病院 麻酔科)

【背景】 フェンタニルの合併症として筋硬直(Fentanyl-induced rigidity)が知られている。しかし、術後人工呼吸器管理中の報告は稀である。当施設において、心臓外科手術後の人工呼吸器管理中に、Fentanyl-induced rigidityによる換気不全を起こした症例を過去3年間で6例経験した。【症例】3年間の心臓外科手術数は136件であった。Fentanyl-induced rigidityによる換気不全を起こした6症例を表に示す。いずれも全身麻酔・胸骨正中切開下に手術を行い、術後はICUで人工呼吸器管理を行っている。換気は従圧式調節換気で、入室時点でフェンタニルを40μg/hで持続投与している。共通する経過として、ICU入室後1~5時間で換気量低下アラームのためドクターコールがあった。診察上、胸郭と腹壁のコンプライアンス低下、強制換気時の一回換気量の極端な低下、自発呼吸時のみ出現する一回換気量が1000mlを超す大きな呼吸、が特徴的であった。浅鎮静や疼痛による不同調を考えプロポフォールやフェンタニルをボーラス投与しても改善せず、換気量増加を狙い設定吸気圧を増加させても改善しなかった。 表の通り、筋硬直は姑息的に筋弛緩薬を投与しフェンタニルの血中濃度低下を待つことや、自発呼吸下に管理することで解除された。1症例でナロキソン投与による改善を認めた。【結論】 過去3年間の心臓外科手術症例のうち、人工呼吸器管理中のFentanyl-induced rigidityを6例経験した。フェンタニルを投与する症例ではこれを念頭に入れて人工呼吸器管理を行うべきと考えられた。
image/P85-1(10593-1.jpg