[P85-3] 気管挿管による高度気管狭窄を合併した拡張型心筋症の1例
【背景】ECMOを積極的に併用して気道狭窄の治療を行った症例を経験したため報告する。【臨床経過】40歳男性 身長177cm 体重80kg。 13年前に特発性拡張型心筋症と診断され、左室駆出率は11%まで低下していた。3ヶ月前に心不全増悪のため前医に入院中に心停止し4日間人工呼吸器管理となった。心移植登録を含めた精査加療のため、当院循環器内科に転院した 。転院時から呼吸困難感、喘鳴を認め、胸部CT及び喉頭ファイバーで気管の胸郭入口部-気管チューブのカフに一致する部位に肉芽による高度狭窄を認め (Figure1A)、ICUに緊急入室となった。検討の結果、気管狭窄部切除術、気管端々吻合術を行うこととし、麻酔導入前からVA-ECMO+IABPを装着し、気管狭窄部の解除術を施行した(Figure1B))。術後約2週間は筋弛緩併用の深鎮静にて気管吻合部の安静を保った。入室6日目にVA-ECMO、入室10日目にIABPから離脱した。入室18日目にVV-ECMO補助下に内視鏡検査で気管吻合部に狭窄などがないことを確認し、鎮静薬を減量した。積極的なリハビリ介入により、入室25日目にMMT(Manual Muscle Test)2、入室27日目にはMMT3まで筋力の回復を認めた。その後、入室33日目に大腿動静脈を確保下に抜管した。抜管後、気道狭窄症状や心不全症状なく、入室37日目にICU退室した。【結論】気道確保に大きな問題をもつ低心機能の患者において積極的なECMO使用を含む、適切な呼吸循環補助によって気管狭窄治療を行った症例を経験した。