[P85-6] 腹臥位療法にて救命できたARDS合併抗ARS抗体症候群の1例
【背景】抗ARS抗体症候群は間質性肺炎、筋炎、関節炎、皮膚病変などを効率に合併し、肺病変のみが先行する場合もある。間質性肺炎は画像上NSIP/OPパターンを呈し、ステロイド反応性が良く、一般的に予後良好である。
【症例】生来健康な58歳女性、入院3週間前から咳嗽・喀痰・倦怠感を自覚。2週間前から発熱・呼吸困難が出現。2日前に近医受診し肺炎で入院。呼吸状態悪化し挿管管理で当院転院搬送となった。2型呼吸不全、CTで両側びまん性の硬化影と軽度すりガラス影を認め、肺炎を契機としたARDSの診断で抗菌薬・ステロイド治療を開始した。低酸素血症・高二酸化炭素血症に難渋し、腹臥位療法・筋弛緩管理を併用、入院5日目に抜管した。細菌検査は陰性。硬化影主体で器質化肺炎が疑われたが、のちの原因精査で抗ARS抗体が陽性であり、抗ARS抗体症候群による急性呼吸不全・ARDSと診断した。経過中明らかな筋炎症状は認めていない。現在ステロイド漸減で経過観察中である。
【結語】ステロイド反応性のあるARDSの原因精査で抗ARS抗体症候群の診断に至った。びまん性肺疾患の診療ではすりガラス影が目立たない場合も、病歴や身体所見に加えて治療経過なども参考に、上記疾患を含む二次性間質性肺疾患精査を行うことが重要である。
【症例】生来健康な58歳女性、入院3週間前から咳嗽・喀痰・倦怠感を自覚。2週間前から発熱・呼吸困難が出現。2日前に近医受診し肺炎で入院。呼吸状態悪化し挿管管理で当院転院搬送となった。2型呼吸不全、CTで両側びまん性の硬化影と軽度すりガラス影を認め、肺炎を契機としたARDSの診断で抗菌薬・ステロイド治療を開始した。低酸素血症・高二酸化炭素血症に難渋し、腹臥位療法・筋弛緩管理を併用、入院5日目に抜管した。細菌検査は陰性。硬化影主体で器質化肺炎が疑われたが、のちの原因精査で抗ARS抗体が陽性であり、抗ARS抗体症候群による急性呼吸不全・ARDSと診断した。経過中明らかな筋炎症状は認めていない。現在ステロイド漸減で経過観察中である。
【結語】ステロイド反応性のあるARDSの原因精査で抗ARS抗体症候群の診断に至った。びまん性肺疾患の診療ではすりガラス影が目立たない場合も、病歴や身体所見に加えて治療経過なども参考に、上記疾患を含む二次性間質性肺疾患精査を行うことが重要である。