[P86-5] 高頻度振動換気にて改善が得られた顕微鏡的多発血管炎に合併した肺胞出血の一例
【背景】びまん性肺胞出血は様々な原因により肺胞毛細血管や肺動静脈などの小型血管に障害をきたし、そのために肺胞腔内に血液が充満する病態を呈する臨床的な症候群である。まれな病態であるが、一旦発症すると重篤な呼吸不全を呈することが多い。【臨床経過】78歳男性。X年1月7日に喀血にて近医を受診し、入院の上、止血剤、抗生剤を投与し様子を見ていたが、1月11日の未明から呼吸状態が急激に悪化、NPPV装着しFiO2 1.0でもSpO2 90%以上を保てなくなったため、肺胞出血を疑われ当院紹介。来院時、大量の喀血が見られたため救急外来にて気管挿管とし、ICU入室とした。 ICU入室後、挿管チューブからの血性水様痰を多量に認め、通常の人工呼吸器では換気不能となったため、肺胞出血疑いにて筋弛緩薬使用下にHFOVによる呼吸器管理を開始した。循環器内科にコンサルトし心筋炎の合併が疑われること、急激な腎機能悪化が見られること、皮疹、神経障害が見られることから顕微鏡的多発血管炎による肺胞出血と診断、ステロイドパルス療法を開始した。入院後day2には酸素化が改善したため、一旦HFOVを離脱、PCV-A/Cの通常の人工呼吸器管理とした。Day2の夜に急激な酸素化の悪化を認め、胸部レントゲンにて右下肺野の浸潤影の増悪、肺胞出血の再増悪が疑われた。再度HFOV管理とし、エンドキサンパルスを施行。また、血漿交換も併用とした。入院後day5には酸素化が改善したため再度HFOVを離脱、通常の人工呼吸器管理としweaningを進めた。入院後day13にはICU退室、一般病棟へ転倒となった。入院後day98にリハビリ目的に転院となった。【結論】本邦ではHFOVの経験が多い施設から、びまん性肺胞出血や外傷による難治性の肺出血への止血効果やガス交換の改善が学会などで報告されている。本症例でもHFOVにて良好な止血効果を得ることができており、HFOVが有効であったと考えられる。