[P88-5] 集中治療室移転時の臨床工学技士と医療機器の関わり
【はじめに】当院は2018年4月に新病院棟が竣工、同年5月4日に集中治療室を含む病床(全970床)が新棟に移転した。新棟は医療ガス配管方式が変更され、人工呼吸器などの配管変更が必要になった。また、全病床移転を6時間と限られた時間の中で患者搬送を含め実施した。その中で臨床工学技士は機器移動や移転前後の機器保守管理を担当し、問題なく移転を終えることができた。今回、集中治療室に焦点を当てどのように準備、移転を実施したか報告する。【移転準備】どのように患者搬送、機器移動するか専住医、看護師、臨床工学技士で協議の場を持った。旧棟の人工呼吸器は据え置き型であったため全て可動型に変更した。配管変更した人工呼吸器を新棟で点検しガス漏れなど異常がないことを確認、準備し配管変更が難しい場合は変換コネクターを用意して対策した。患者搬送は主科と専住医で搬送、臨床工学技士は旧棟、新棟で各2名配置し機器の動作確認、移動をした 。搬送時間も限られているため実際のベッドを使用し動線や通路の幅を確認、シミュレーションした。また、移転の順番は集中治療室が最後であり、新棟側で急変患者が発生した場合は高度治療室で対応するとした。【移転】当日は移転前日に補助循環管理の重症患者が入り予定外の搬送が必要となった。重症度により患者搬送の順番を決め搬送をおこない、搬送中は問題なかったが人員や機器の不足により予定していた搬送時間より延長した。移転終了後も全ての医療機器に異常がないことを確認したが、2床でアイソレーションシステムの警報が発生し対応した。【考察】移転時間は限られ最短での患者搬送が必要となり集中治療室内の患者にてシミュレーションしたが、当日は補助循環管理の患者搬送が追加となったため、予定外の動線にて搬送した。そのためあらゆる状況も想定に入れ各部門も含めて準備しておく必要がある。また、移転直後は医療機器や設備トラブルなどが起こることを想定し、多職種間で問題を共有し対策を練り各担当者が対応できる体制を臨床工学技士が中心となり構築する必要がある。 【結語】今回、集中治療室の移転を経験した。設備の変更、搬送時間、搬送ルートの制限などあったが多職種と円滑に連携をとることによって、問題なく移転を実施することができた。