第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

リハビリテーション 研究

[P89] 一般演題・ポスター89
リハビリテーション 研究03

2019年3月3日(日) 11:00 〜 11:50 ポスター会場7 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:卯野木 健(札幌市立大学看護学部)

[P89-5] 当院ICUにおける緊急入室患者の早期リハビリテーションの効果について

谷口 誠太1, 矢坂 望美2, 田村 宏兵2, 伊藤 翼3 (1.社会法人財団 池友会 福岡和白病院 ICU, 2.社会法人財団 池友会 福岡和白病院 リハビリテーション科, 3.社会医療法人財団 池友会 福岡和白病院 心臓血管外科)

【背景】 早期リハビリテーション(以下リハ)は,患者のADL再獲得や退院後のQOL維持のために積極的に介入することが必要とされている.また,早期リハは今年度より加算対象となり多くの効果が期待されその功罪についての報告も多くある.しかし,ICUへ緊急入室した患者に限った文献は少ない.そこで,当院ICUに緊急入室した患者を対象に,早期リハの効果について明らかにしたいと考え本研究に取り組んだ.【目的】当院ICUの予定外入出患者を対象に,早期リハ実際患者の特徴と,早期リハによるICU在室日数と在院日数に及ぼす影響を検証することを目的とする.【方法】本研究は,診療録より後方視的に調査した分析的横断研究とした.対象は,2018年5月から7月までに当院ICUに緊急入室した99名とし,対象者を入室からリハ開始48時間以内であった早期群70名と48時間以降であった早期外群29名に分類した.調査項目は年齢,入室時APACHE2score,入室からリハ開始までの日数,リハ開始から端座位までの日数,ICU在室日数,在院日数とした.統計的解析は,2群間の平均の比較にMann-WhitneyのU検定,全対象者における各項目の相関解析にSpearmanの相関係数を用い,有意水準を5%未満とした.【結果】対象者の年齢は,71.3±14.4歳であった.早期群の年齢は,72.1±14.0歳,早期外群の年齢は,69.2±15.5歳であった.入室からリハ開始までの日数は,早期群が1.0±0.5日,早期外群が3.5±1.3日であった.入室時のAPACHE2scoreは,早期群(12.4±5.2点)が早期外群(14.2点±5.7点)よりも有意に低い値を示した(p<0.05).相関解析の結果より,リハ開始までの日数とICU在室日数に弱い正の相関を認めた(r=0.26,p<0.01).また,APACHE2scoreは,リハ開始までの日数 (r=0.21,p<0.03),ICU在室日数(r=0.24,p<0.02),リハ開始から端座位までの日数(r=0.34,p<0.01),在院日数 (r=0.43,p<0.01)と有意な相関を認めた.さらに,リハ開始から端座位までの日数は,ICU在室日数(r=0.54,p<0.01),在院日数(r=0.31,p<0.01)に有意な相関を認めた. 【結論】当院ICUでは,重症度を示すAPACHE2scoreは早期群の方が低いことが分かった.そして,早期・早期外共にICU退室・在院日数の短縮にはつながっていなかったが,早期・早期外に関係なく端座位を実施にしたことによって,ICU在室日数及び在院日数の短縮につながる可能性が示唆された.