[P90-3] 重症脳卒中後遷延性意識障害による呼吸器離脱困難症例に対し3か月で呼吸器離脱に成功した1例
【はじめに】現在呼吸器離脱において、ウィーニングプロトコルを用いたウィーニングが推奨されている。今回悪性中大脳動脈梗塞による頭蓋内圧亢進をきたし、その後意識障害が持続した患者に対して、呼吸ケアチーム(RST)が介入し初回SAT・SBT実施後3ヶ月にて呼吸器離脱に至った症例を経験したので報告する。【症例】57歳男性。右内頸動脈閉塞に対し超急性期血栓回収療法を施行するも、著しい脳浮腫による頭蓋内圧亢進をきたし内外減圧術実施。MRI上脳浮腫軽減が確認され、ミダゾラム使用し人工呼吸器管理が継続され第15病日目にSCU退室したが離脱困難症例としてRST介入となった。本学会プロトコルに基づきSATを確認し第16病日目SBTを実施したところ、RSBI105以下ではあったが開始数分で呼吸数の増大とSPO2の低下が認められた。介入時意識レベルはJCS200 GCS 5、呼吸器はASVモード、PEEP 8cmH2oでの呼吸管理が実施されていた。医師、看護師、理学療法士、臨床工学技士を交え、本患者個別の中止基準を呼吸数35回以上、HR140回以上、SPO2 90%以下、SYS 90mmHg以下MAP65mmHg以下、呼吸努力筋の使用時と定め毎日のSBTを継続した。また端坐位の実施や臥床時のポジショニングを継続して行った。その結果徐々にSBT実施時間が延長され、76病日目にSBT成功となり、人工呼吸器からの離脱に成功した。【結語】本症例では、初回SBT実施からSBT成功に時間を要した。重症脳卒中後の遷延性意識障害患者で呼吸器離脱となる原因には長期臥床による呼吸筋萎縮の他に中枢性呼吸障害が伴なり長期化することがある。また急性期集中治療管理機関を過ぎてから、一般病棟での限られた医療資源の中で安全に呼吸器離脱を進めていく必要がある。当院では他職種を交えたRSTを結成し、ウィーニングプロトコルSAT・SBTを元に個別の基準を作成して呼吸器離脱へ取り組んだ。基準を設け呼吸器離脱訓練を行うことで、全身状態の悪化なく呼吸器離脱を行うことが可能であった。また遷延性意識障害患者の呼吸器離脱に関しては意識レベルを向上するためSBT実施と同時に、端座位など脳幹網様体の刺激を継続することも重要であると考えられる。