[P90-5] 作業療法士が行うICUでのせん妄対策の取り組み
【背景】当院ではICUでの人工呼吸管理中の患者を対象にリハビリテーション科主導のABCDEバンドル遂行プロトコルを運用している.本バンドルでは理学療法士(PT)が早期離床を行い,自発覚醒トライアル(SAT)後にCAM-ICUでせん妄ありと判定された者に作業療法士(OT)がせん妄のモニタリングと認知訓練やADL訓練を行うこととした.今回,重症患者2名にOTが施行したせん妄対策の取り組みを報告する.
【臨床経過】症例1:75歳男性.病前ADL自立,認知機能障害無し.汎発性腹膜炎に対する開腹右半結腸切除,人工肛門造設後にICU入室し,APACHE IIスコア20であった.術後4日にリハビリテーション科依頼ありPT開始し,術後16日にOT開始した.OT初回のGCSはE4VTM6で見当識障害と記銘力低下を認め,上肢Medical Research Council score(MRC)16/30点(肩2肘/手3)であった.端座位で上肢リーチや物品を用いた注意課題と記憶課題,書字,リアリティオリエンテーションを実施し,カレンダー設置など環境調整を行った.術後17日に自発呼吸トライアル(SBT)クリアし抜管され,OTは整容更衣訓練を追加した.RASSは-1から0で推移し,術後22日にせん妄なしの判定となった.退院時上肢MRCは22/30点(肩3肘/手4),Mini-Mental State Examination (MMSE)は24/30点であった.
症例2:73歳女性.病前ADL自立,認知機能障害無し.腹腔内出血の開腹止血術後にICU入室し,APACHE IIスコア25と症例1よりも高かった.術後2日にリハビリテーション科依頼ありPT開始した.術後8日にSATとSBTをクリアしたが,せん妄あり,OTを開始した.OT開始直前に抜管され,OT初回のGCSはE4V4M6で見当識障害を認め,上肢MRCは20/30点(肩3肘/手4)であった.上肢粗大運動,パズルや計算などの認知注意課題,ADL訓練を早期から行った.RASSは-1から0で推移し,術後10日にせん妄なしの判定となった.退院時上肢MRCは24/30点(肩/肘/手4),MMSEは27/30点で症例1よりも高かった.
【結論】ICUにおいてSAT後に確認されたせん妄を有す重症患者に対してOTによる早期の認知訓練やADL訓練は有害事象もなく有効であった.
【臨床経過】症例1:75歳男性.病前ADL自立,認知機能障害無し.汎発性腹膜炎に対する開腹右半結腸切除,人工肛門造設後にICU入室し,APACHE IIスコア20であった.術後4日にリハビリテーション科依頼ありPT開始し,術後16日にOT開始した.OT初回のGCSはE4VTM6で見当識障害と記銘力低下を認め,上肢Medical Research Council score(MRC)16/30点(肩2肘/手3)であった.端座位で上肢リーチや物品を用いた注意課題と記憶課題,書字,リアリティオリエンテーションを実施し,カレンダー設置など環境調整を行った.術後17日に自発呼吸トライアル(SBT)クリアし抜管され,OTは整容更衣訓練を追加した.RASSは-1から0で推移し,術後22日にせん妄なしの判定となった.退院時上肢MRCは22/30点(肩3肘/手4),Mini-Mental State Examination (MMSE)は24/30点であった.
症例2:73歳女性.病前ADL自立,認知機能障害無し.腹腔内出血の開腹止血術後にICU入室し,APACHE IIスコア25と症例1よりも高かった.術後2日にリハビリテーション科依頼ありPT開始した.術後8日にSATとSBTをクリアしたが,せん妄あり,OTを開始した.OT開始直前に抜管され,OT初回のGCSはE4V4M6で見当識障害を認め,上肢MRCは20/30点(肩3肘/手4)であった.上肢粗大運動,パズルや計算などの認知注意課題,ADL訓練を早期から行った.RASSは-1から0で推移し,術後10日にせん妄なしの判定となった.退院時上肢MRCは24/30点(肩/肘/手4),MMSEは27/30点で症例1よりも高かった.
【結論】ICUにおいてSAT後に確認されたせん妄を有す重症患者に対してOTによる早期の認知訓練やADL訓練は有害事象もなく有効であった.