[P90-6] 高カリウム血症による心肺停止蘇生後当日から理学療法を開始した一症例
【背景】近年、集中治療後症候群(PICS)をはじめ、ICU-AWの予防として集中治療中からの早期リハビリテーションが有用と言われている。今回、高カリウム血症が原因と思われる心肺停止症例に対し蘇生後当日より理学療法を開始した。胸骨圧迫により肋骨・胸骨骨折を呈しフレイルチェストとなり呼吸管理・疼痛管理に難渋しながら理学療法を行ない良好な結果が得られたので報告する【臨床経過】84歳男性、腹痛を主訴に救急要請。救急隊接触後に突然CPAとなった。ECGはVF波形、除細動1度施行したが改善なくCPA状態で当院搬入。搬入後14分で自己心拍再開。腎不全による高カリウム血症・致死性不整脈による心停止が疑われた。挿管しICUに入室し2時間後PEAとなりCPR再開。VT波形に対しDC施行。自己心拍再開しGI療法・CHDF開始となり、意識レベルも徐々に改善がみられ従命行為も可能。当日よりベッドサイドより理学療法を開始した。4病日には気管切開術を行いベッド上での積極的な運動も可能となった。8病日に本人よりトイレでの排泄希望あり翌日に離床を開始。前胸部の疼痛が強くリハビリテーション前に鎮痛剤の投与を行い積極的に離床をはかる。13病日には原因不明の下垂手を認めた。14病日にICU退室となり17病日HCUにて人工呼吸管理下での歩行訓練(約30m)を開始した。24病日フレイルチェストに対し、胸骨・肋骨観血的手術を施行した。27病日に人工呼吸器離脱、32病日から病室にリカンベント式エルゴメーターを持ち込み運動時間の拡大をはかる。34病日には一般病棟へ転棟となり担当スタッフも交代し、ADL訓練を主体にプログラム実施する。歩行補助具を使用した歩行も100m以上の可能となり、61病日目にリハビリ継続の為にリハビリ専門病院へ転院となる。当院退院時の認知機能はMMSE:22/28点(書字不可)、ADL評価(Barthel Index)は70点まで改善が得られた。【結論】PICSやICU-AWを予防する為には様々なリスク因子を多職種で理解し、我々、理学療法士は病状に応じて集中治療中から可及的早期にリハビリテーションを開始する事が重要である。更に、集中治療室在室中から長期的な患者のADLやQOLを考慮し関わっていく必要がある。一般病棟退室後も担当スタッフと情報共有を行ない、シームレスな関わりを行うことが良い結果を生む事につながると考える。