[P91-2] ICU-AW患者の回復期病棟での管理経過―4症例の経験から―
ICU-AWは救命後も強い廃用障害が大きな課題であり、急性期医療機関から直接自宅退院するのは尚困難である。一方回復期リハ病棟は、急性期を後方支援しつつ患者の生活を再建し地域生活に繋ぐ役割を担っている。ICU-AW患者についてもその使命は同様であり、患者が負った障害に対し、リスク管理を行いながら集中的に働きかける大きな課題と挑戦があるはずであるが、未だ具体的な管理プランは確立していない。ところで、一般的に回復期での経過は、便宜上大きく前期:リハビリを実践するためのコンディション作りの期間、中期:リハ負荷をあげ、身体能力を向上させていく時期、後期:自宅退院のための支援調整と課題克服に充てる時期、の3期に分けられる。我々の回復期病棟で経験したICU-AW患者4例の経過を振り返り、回復期病棟での管理経過を報告する。【症例】2015年9月~2017年8月末までの2年間に当院(回復期単科病院)に入院した患者のうち、1.集中治療室等で治療を受け48時間以上の人工呼吸器管理を要しており、2.重症病態発症後に全身の筋力低下をきたし、3.筋力低下はびまん性・左右対称性で、4.嚥下障害・起居障害が発生し、5.脳卒中や神経疾患が意識障害、運動麻痺・失調、嚥下障害の原因と思われるものは除外、6.筋力低下の原因となる疾患が除外できる、の6項目すべてを満たすものをICU-AWと定義して4症例(67才~87才、全員男性)を抽出した。ICU-AW患者管理では特に前期の管理が重要と考え、前期から中期への移行条件として、1)栄養が少なくとも基礎代謝量(kcal/日)×1.2が安定して投与できていること、2)代謝状況(甲状腺機能・電解質・貧血など)および、3)各臓器機能が、評価され必要な介入が開始されていること、4)消耗性疾患はコントロール下にあること、5)ベッド端座位でバイタルサインが安定していること、を設定した。【経過まとめ】ICU入室から当院転院まで平均46日だった。前期には2~3週を要した。中期には経口・歩行再獲得を達成した。経過中合併症を経験した。後期には約1か月を要した。4例とも、保険適応期間ぎりぎりかそれを超えた入院が必要だったが自宅退院した。1例は4か月後、誤嚥性肺炎で死亡した。【結論】ICU-AW患者4例の経験をもとに、回復期病棟での経過を前期・中期・後期に分けその管理のポイントについて報告した。