第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

リハビリテーション 症例

[P91] 一般演題・ポスター91
リハビリテーション 症例04

2019年3月3日(日) 11:00 〜 11:50 ポスター会場9 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:安村 里絵(東京都済生会中央病院 麻酔科)

[P91-4] 早期離床・リハビリテーション開始に向けた当院多職種チームによる取り組み

小島 美保1, 中島 光貴2, 松永 慶廉2, 小原 邦義2, 贄 正基2, 石田 泰浩3, 佐藤 美登利1, 関澤 祥子4 (1.海老名総合病院 看護部 集中治療室, 2.海老名総合病院 心臓血管外科, 3.海老名総合病院 リハビリテーション科, 4.海老名総合病院 管理部 医事科)

2018年4月から厚生労働省において設定された「早期離床・リハビリテーション加算」が運用されている。この「早期離床・リハビリテーション加算」の目的は急性期病院において周術期早期からリハビリテーションを促すことにより健康寿命の延伸により長寿を実現するとともに、あらゆる世代の国民が状態に応じた安心・安全で質が高く効果的・効率的な医療を受けられるようにすることが必要であると考えられる。当院では心臓血管外科及び脳神経外科という高度先進医療を担う診療科がある。術後リハビリの有用性については明確であるが、人工呼吸器などの生命維持装置並びに大動脈バルーンパンピング(IABP)などに代表される補助循環装置使用時において術後リハビリの開始基準や介入中止基準の判断に関して明確なリハビリプログラムがなかった。そのため医師、看護師、理学療法士が各々の立場で必要とされるリハビリが実施されていた。このような状況下で早期離床・リハビリテーションを検討するに際し2018年6月から心臓血管外科術後患者を対象とし、早期離床・リハビリテーションに対する取り組みを開始した。心臓血管外科術後患者を選択した理由として、1)ICU滞在比率が他診療科より高い点2)判断基準となるバイタルサインが数値化されている点3)リハビリの効能が把握しやすくリハビリ施行側のモチベーションが維持しやすい点が挙げられた。早期離床・リハビリテーションチームとしては心臓血管外科医師、集中ケア認定看護師および集中治療室看護師、理学療法士、事務職員の多職種でチームを構成した。このチームでこれまでのリハビリの現状や問題点について話し合い、運用フロー・プロトコール・リハビリ開始基準及び中止基準・リハビリテーション実施評価表を作成し実施した。結語;今回、早期離床・リハビリテーションの取り組みに際し、明確な基準を作成・実施することで多職種による観察評価項目の統一化が図れた。更に多職種間でコミュニケーションを取る機会が増加したため治療目標の共有ができ、患者にとって必要な支援が明確となり、安全な術後リハビリが可能となると考えられた。今回の取り組みは心臓血管外科術後患者に限定しているが、今後はこの取り組みをICU入室患者全てに拡大・実践して行くことにより、治療目標・目的意識を多職種間で共有可能となり、より良い安全な医療を患者に提供できると確信している。