[P92-3] 超音波ガイド下にICU内で挿入した末梢挿型中心静脈カテーテルの妥当性の検討
【背景】末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)は、従来の中心静脈穿刺と比較して致命的な合併症が少ないことから医療安全上も推奨されている。しかし、PICCは留置カテーテル長が長く、透視下での挿入が好ましいがICU内では透視が使用できず、エコーガイドなどの工夫が必要である。【目的】当院ICU内でエコーガイド下に挿入したPICCの妥当性について検討する。【方法】2017年1月から2018年8月までの間、当院ICU内でPICCを挿入した成人患者を対象に、PICCの尖端位置、留置日数、合併症などを後方視的に検討した。PICCの挿入はエコーガイド下に上腕の静脈から挿入し、その後更にエコーで腋窩~鎖骨下静脈、あるいは、それよりも中枢側まで留置し、かつ、内頚静脈に迷入していないことを確認しながら行った。PICCの先端位置は胸部X線写真で確認し、StonelakeらのZone分類 (BJA 96 (3): 335-40 (2006)) で、右PICCはZone A or Bを左PICCはZone A or Cを至適位置とした。【結果】対象患者は72名で、右PICCが57、左PICCが15であった。上腕の尺側皮静脈あるいは上腕静脈から挿入され、右PICCはZone Aが18例、Zone Bが15例、右腋窩~右鎖骨下静脈内が24例、左PICCはZone Aが5例、Zone Cが7例、Zone Bが3例であった。内頚静脈迷入は2例あり修正した。至適カテーテル先端位置への留置確率は45/72(62.5%)であった。しかし、全症例でPICCは使用可能であり、留置日数は中央値(最少、最大)で16(2、128)日であった。合併症としてCRBSIが3件発生した(2.6件/1,000留置日数)。静脈血栓塞栓症は認められなかった。【結論】ICU内でもエコーガイド下にPICCを挿入することで、安全に留置できた。しかし、至適位置の留置は62%程度であり、更なる工夫の検討も必要である。