[P92-4] 地震による病院停電時の人工呼吸患者、補助循環装置装着患者への対応
【背景】2018年6月に発生した大阪府北部地震によって、当院では自家発電機の不具合による停電が発生した。当院では人工呼吸や補助循環装置装着患者に加え、植え込み型補助循環装置を装着した患者も入院しており、これらの装置に電源が供給されない場合に致命的な事態が生じる可能性がある。今回の停電発生時に、適切に人員を配置することによって、緊急時の対応が可能であった。【経過】 2018年6月18日に大阪府北部地震が発生した。地震発生直後に停電し、手動で自家発電装置に切り替えたが、不具合で院内に送電できず、非常用電源を使用し対応した。復旧までに3時間ほど要し、その間の一部で、手術室やICU、補助循環装置を装着した患者を収容する病棟で停電が生じた。 地震発生直後の停電発生時に、非常用電源が作動していることを察知し、上記の部署に麻酔科・集中治療部の医師を配置し、非常用電源枯渇時の停電に備えた。また、院内に連絡し、不要な電源の使用を控えることで、工業規格で規定された非常電源の持続時間よりも長時間の使用が可能であった。 結局、通常電源の復旧まで非常用電源による電力の供給は持たず、一時的に人工呼吸患者の用手換気を要したが、あらかじめ人員を配置していたことで、大きなトラブルは発生せずに電源の復旧を待つことが可能であった。 補助循環装置装着患者については、院内の電源の使用を、各特殊病棟及び補助循環装置装着患者を収容する病棟に限っていたため、停電中は補助バッテリーのみで電源供給が可能であり、用手的な補助が必要な症例はなかった。【結論】 病院停電時には、人工呼吸患者や補助循環装置装着患者など、電源に依存する生命維持装置を装着した患者に致命的なトラブルが生じる恐れがある。あらかじめ電源の枯渇に備えた電源使用の制限や、スタッフの配置を行うことで、停電に伴うトラブルを最小限に減らすことが可能である。